
アニメキャラがビールを片手に自転車を漕ぐという前代未聞のイベント「酔っ払いサイクリング選手権」が、先日、東京・秋葉原で開催された。主催する日本酔っ払い協会の泥酔太郎会長(飲酒時年齢:58歳)は、「現実世界では到底実現できない企画だからこそ、アニメの世界で実現させたかった」と熱く語る。なお、会長は取材時、すでに千鳥足気味であった。
参加者には、各アニメ作品の人気キャラクターたちが名を連ねた。「魔法少女プリティドリンク」の主人公・月野まいは、魔法の杖でビールの泡を自在に操り、「泡の魔法少女」として会場を沸かせた。一方、人気バトルアニメ「酔拳NEXT」からは、主人公の拳志郎が「酔拳スタイル」でペダルを漕ぎながら、一滴もこぼさずビールを飲み干す離れ業を披露。地元の居酒屋店主(67)は「こんなん現実では絶対アカン」と感心しきりだった。
大会のハイライトは、各キャラクターがこだわりの銘柄を披露するビールセレクション。「侍ソード」の主人公・刀田一真は、江戸時代から伝わる幻の「刀削(とうけず)ビール」を愛飲。製法の詳細は不明だが、なぜか刀で缶を切り開くと泡が刀身に沿って完璧な黄金比で注がれるという。筆者も一口試飲させていただいたが、喉越しの際に「セイヤッ!」という掛け声が自然と出てしまう不思議な味わいだった。
優勝賞品として話題を呼んだ「無限のビール供給権」だが、実態は「毎日、駄菓子屋のラムネ程度のサイズのビールが無料で飲める権利」という落ちが。優勝した「居酒屋物語」の看板娘キャラ・居酒井子は「これじゃあまた来年も参加するしかないですね♪」と苦笑い交じりにコメント。なお、協会によると「無限」の定義は「会長の記憶が途切れるまで」とのことだ。
SNSでは「#酔っ払いサイクリング選手権」がトレンド入り。中には「うちの猫がビール見て逃げた」「隣の部屋のウクレレ演奏が急に上手くなった?」など、現実世界での珍現象を報告する投稿も。また、地元商店街では「アニメキャラの気分が味わえる」と称して、水割りを「無限アルコール」と銘打って提供する居酒屋も登場。値段は実質「無限」に近いとの声も。
本大会は、アニメという非現実の世界だからこそ実現できた奇祭といえる。次回大会では「二日酔いリカバリーレース」の追加も検討されているという。なお、この記事は締め切り直前、筆者が深夜の高円寺で目撃した「酔っ払いチャリンコおじさん」からインスピレーションを得て執筆された。ちなみに、そのおじさんが口ずさんでいた演歌は「無限の夜」であった。
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