
スマートフォンでおにぎりが握れる――。そんな荒唐無稽な機能が、この度AIスタートアップ企業「OnigiriTech(オニギリテック)」によって開発された。同社が特許を取得した「スマホde握りおにぎり」は、スマートフォンを振動させることで、端末内部に搭載された特殊な圧力センサーと量子もみほぐし技術により、完璧な形のおにぎりを作り出すという。
「最初は誰も信じてくれませんでした。でも、秋田の実家で母が毎朝4時に起きておにぎりを作る姿を見て、これを何とかしなければと」と語るのは、同社CEO的場みのり氏。ドイツと秋田のハーフという異色の経歴を持つ彼女は、留学時代にピアノの練習の合間に思いついたという。
この技術は瞬く間に拡散。日本未来おにぎり協会の試算によると、おにぎりを握る時間の節約により年間約2.3兆円の経済効果が見込まれるという。「おにぎり握り時間を株取引に回す主婦が続出」「通勤電車でこっそりおにぎりを握るサラリーマンの姿も」と、各メディアが特集を組んだ。
しかし、予期せぬ事態が発生する。スマホでおにぎりを握る人が激増したことで、米の需要が急上昇。「2000年産コシヒカリ」が投機の対象となり、米取引所は一時ストップ高。下北沢の某スーパーでは、店頭に並んだ米を求めて深夜から行列ができる事態となった。
混乱に拍車をかけたのが、突如テレビに登場した自称「量子おにぎり学博士」たちだ。「おにぎりの三角形の角度は73.2度が最も経済効果が高い」「左回りに7周握ると株価が上がる」など、独自の理論を展開。ラジオでも「おにぎり投資法」なる新理論が話題となった。
事態を重く見た農林水産省は、緊急記者会見を開き「おにぎりは心で握るもの」と声明を発表。しかし、すでに若者の間では「スマホ握り」が当たり前となっており、従来の手作りおにぎりは「レトロ飯」と呼ばれ、SNSで人気を集めているという。次世代の食文化と経済の行方を、私たちは見守るしかないのかもしれない。