
アメリカ・ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターで開催された「第1回宇宙ヨガ世界選手権」で、思わぬ事態が発生している。大会に参加したシングルプレイヤーゲーム愛好家(通称:シングレ)たちが、地球の重力に戻れなくなるという珍事が起きたのだ。
「無重力空間でのヨガは、ゲームの『スーパーマリオギャラクシー』で培った空間把握能力が活きますね」と語るのは、大会で金メダルを獲得した山田太郎さん(28)。普段は某ゲーム実況サイトで活躍する彼が披露した「グラビティ・ゼロ」は、通常のヨガでは絶対に実現できない、まるでクラゲのような優美な動きが特徴だ。
参加者たちには、NASAが特別に開発した「アンチグラビティ・ヨガブーツ」が支給された。これは1980年代に流行した「ムーンブーツ」の技術を応用したもので、装着すると月面のような浮遊感が味わえるという代物だ。「実は『スペースインベーダー』の開発者も監修に関わっているんです」とNASA広報担当は明かす。
問題が発生したのは大会終了後だった。参加者の90%以上が「地球の重力が重すぎて動けない」と訴え、一時は国際宇宙ステーションの緊急避難先として検討される事態に。「ゲームのロードが永遠に終わらないような感覚です」と、ある参加者は証言する。
事態を重く見たNASAは、急遽「地球引力順応プログラム」を開始。参加者たちは特製の重力室で、1日かけて徐々に地球の重力に慣れる訓練を受けることになった。ところが、「このふわふわ感、もう少し楽しみたいです」と、多くの参加者が訓練を拒否。現在も約30名が宇宙センター内で優雅に浮遊を続けているという。
「実はこの現象、『重力依存性解離症候群』という新しい症例かもしれません」と語るのは、架空重力研究所の月野教授。「シングレプレイヤーは没入感が強いため、無重力状態への適応力が異常に高い可能性があります。まるでゲームの中のキャラクターのように」と分析する。
NASAでは来年の第2回大会に向けて、より安全な実施方法を検討中だ。「次回は『どうぶつの森』プレイヤーも参加したいと言っています。果たして彼らは地球に帰ってこられるのでしょうか」と、大会実行委員長は複雑な表情を浮かべた。なお、筆者も取材後、妙に体が軽くなった気がする。マインドはギャルなんで、このまま宇宙に浮かんでいたい気分である。