
都内の大学生たちの間で、時間を売買できるスマートフォンアプリ『時間銀行』が大流行している。このアプリは、早稲田大学の情報科学部に通う田中優太さん(20)が「遅刻癖を直したい」という切実な願いから開発。ユーザー同士で時間を売買でき、購入した時間は自分の好きなタイミングで使用できるという、まさに「時は金なり」を体現したサービスだ。
アプリの使用方法は至って単純。例えば朝型の学生が「朝の2時間」を1時間あたり500円で出品すると、それを購入した学生は好きな時に「2時間分の時間」を使用できる。サービス開始からわずか2週間で、登録者数は10万人を突破。特に単位を落としそうな学生からの需要が高く、期末試験シーズンには1時間あたり2万円という法外な価格で取引される事例も報告されている。
しかし先日、国立天文台から驚くべき発表があった。大量の時間取引の影響で、地球の自転速度が通常より0.00042%遅くなっているというのだ。「時間物理学会」の緊急会議では、世界的権威であるアインシュタイン博士の孫(自称)のハンス・アインシュタイン氏が「このままでは2024年の大みそかが1秒長くなる可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
さらに、新たに設立された「時間銀行学会」の調査によると、時間を購入した学生の87%が「時間は増えたが、やる気は増えなかった」と回答。また「授業中にスマホで時間を物色するため、かえって時間を無駄にしている」という本末転倒な実態も明らかになった。渋谷のカフェでインタビューに応じた女子大生は「時間を買っても結局TikTokを見てしまうんですよね。でもマインドはギャルなんで、お金があれば使っちゃいます」と話す。
専門家からは「若者の時間管理能力の低下を助長している」との批判の声も上がっているが、アプリの人気は依然として衰えを知らない。むしろ、社会人の間でも「残業時間を売りたい」というニーズが高まっており、新たな働き方改革の起爆剤として期待する声もある。時計の針が少しずつ遅くなる中、私たちは改めて「時間」という目に見えない資源の価値を考えさせられている。