
架空の研究機関「デュプランティエ大学宇宙医療研究所」が、月面旅行には驚くべき健康効果があるという研究結果を発表し、医療関係者の間で物議を醸している。同研究所のジャン=ミシェル・デュプランティエ教授によると、月の低重力環境下でのポールウォーキングには、劇的な血圧低下効果があるという。
「月面では地球の6分の1の重力環境下で、心臓への負担が大幅に軽減されます。特に専用ポールを使用した散歩は、収縮期血圧を平均で35mmHg低下させる効果があることが判明しました」とデュプランティエ教授。さらに興味深いことに、この効果は地球帰還後も約1週間持続するという。「まさに、お月様の恵みですね」と教授は満面の笑みを浮かべた。
同大学の研究チームは、昨年から極秘裏に進めていた「月面健康プロジェクト」の一環として、20名の被験者を募集。各被験者に専用の「ムーンヘルスポール」を持たせ、1日3回、各30分の月面散歩を実施させた。その結果、全被験者の血圧が改善。副作用として「満月を見ると無性にポールを持ちたくなる」という症状が報告されている程度だという。
この研究結果を受け、某大手旅行会社は早くも「月面健康ツアー」の企画に着手。ツアー料金は一人あたり2億8000万円で、「健康保険が適用されれば、実質負担は840万円」とアピールしている。ただし、保険適用については厚生労働省が「地球の保険を月で使うのは違法の可能性が高い」と難色を示している。
なお、本研究の信憑性について、国際宇宙医学会のある研究者は「デュプランティエ大学がどこにあるのかすら分からない。そもそも、月に行くまでもなく、地球で普通に運動すれば血圧は下がる」と指摘。また、研究費の出所について追及したところ、某ポールウォーキング用品メーカーの関与が疑われている。それでも教授は「月に行けば分かります」と主張を変えない。健康のために月まで行く時代は、まだ当分先になりそうだ。