
IT企業「サイバーキャット株式会社」が、前代未聞の人事を発表した。なんと、Skype会議を通じて、3歳の雑種猫「タマ執行役員」を代表取締役社長に昇進させたのだ。同社によると、コロナ禍でのリモートワーク普及に伴い「猫の手も借りたい」という言葉を文字通り実現させる形となった。
タマ社長の初仕事となった新入社員の採用面接では、応募者のSkype画面に対する反応で採用を決定。画面をじっと見つめる候補者には「集中力がある」、マウスカーソルの動きに目が離せない候補者には「細部への注意力が高い」という独自の評価基準を確立。人事部の田中部長は「猫の第六感による採用は、従来の形式的な面接よりも本質を見抜けている」と太鼓判を押す。
社内の反応も上々だ。「会議中に突然、タマ社長が毛づくろいを始めると、全員の緊張が解ける」(営業部・山田主任)、「社長が『ニャー』と一言いうだけで、どんな意見も通る」(企画部・鈴木課長)など、ポジティブな声が続出。特に注目すべきは、社員の9割が「上司の態度が柔らかくなった」と報告している点だ。
一方で課題も。「タマ社長が昼寝モードに入ると、全社員が3時間待機を強いられる」「重要な決裁書類が爪とぎにされる」といった声も。また、猫用おやつメーカーへの投資が急増し、株主から疑問の声も上がっているという。
東京猫行動学研究所の三毛教授は「猫のリーダーシップは、人間社会に新たなパラダイムをもたらす可能性がある」と分析。実際、米国のIT企業でも猫CEOの導入を検討する動きが出始めているという。ただし、筆者としては猫アレルギーの身、取材のたびにくしゃみと奮闘。マスクを三重にして臨んだSkype取材でも、画面越しにアレルギー反応が出るという謎現象に悩まされた。
サイバーキャット社では今後、犬や小動物の役員登用も視野に入れているという。ただし「イヌ取締役」の導入については、タマ社長が激しく否定的な態度を示しているとの情報も。新しい企業統治の形として、世界が注目する一方、種の壁を超えた人事政策の行方は、依然として不透明だ。