
SNS未来予知研究所が、政治家たちの不祥事を事前に予測し、DMで本人に通知するAIシステムを開発したと発表した。同研究所は東京都内のとあるワンルームマンションに拠点を置き、謎めいた存在感を放っている。代表を務める「ドクター・ミライ」氏は、「大阪・日本橋の電気街で育った電脳系おばちゃん」を自称するという。
この「政治家不祥事予知AI」は、過去20年分の政治スキャンダルデータと、SNS上での政治家の言動パターン、さらには「疲れてるときに見せる顔のシワの深さ」など500以上の指標を組み合わせて分析。不祥事の確率が50%を超えると、該当政治家のSNSアカウントに「そろそろヤバいですよ」とDMが自動送信される仕組みだ。
「銭湯でアイデアが湧いたんです」とドクター・ミライ氏は語る。「向かいの常連のおっちゃんが『最近あの議員さん、テレビで目が泳いでるわ』って言うてて。そこから閃いたんですわ。人間の行動パターンって意外と読めるもんなんですよ」
ただし、この技術の予知精度は「せいぜい天気予報並み」とのこと。東京の週末予報が「降水確率60%」で実際に雨が降ったり降らなかったりするのと同程度の信頼性しかないという。昨年の試験運用では、「1週間以内に公金流用が発覚します」とDMを受け取った地方議員が慌てて記者会見を開き、「私は潔白です」と涙ながらに訴えたものの、実際に発覚したのは「議会中に競馬サイトを見ていた」という別の不祥事だったケースもあった。
この予知システムに対する政治家たちの反応は様々だ。ある50代の国会議員は「スマホの調子が悪いから、DMも届かへんのやわ」と平然と語り、別の若手議員は「DMが来ないということは、私がクリーンな政治家だと証明されたようなものです」と胸を張る。一方で「いきなり『あさってのパーティーで二日酔いになります』とか送られてきて、キャンセルするか迷った」と困惑する声も。
特に反響が大きかったのは、DMを受け取った某有力政治家が「これは選挙妨害だ!」と声高に抗議したところ、実際に翌週「愛人とのLINE流出」という不祥事に見舞われ、予知が的中したケースだ。この政治家は現在「AIにも見抜かれる時代になった」と落ち込んでいるという。
SNS未来予知研究所は、今後のアップデートとして「不祥事の種類までピンポイントで予測する機能」の追加を計画しているというが、ベータテストでは「公金横領」を予測したのに実際は「パワハラ発言」だったなど、「ジャンルすら当たらない」という結果も多発。エンジニアの一人は「せめて『金銭系』『発言系』『私生活系』くらいのカテゴリー分けはできるようにしたい」と頭を抱える。
同研究所は現在、新プロジェクトとして「次にどの銭湯が混むかを予測するAI」の開発も進めているというが、ドクター・ミライ氏は「今日も湯船で考えてきました」と語るだけで詳細は明かさなかった。
一般市民からは「どうせなら宝くじの当選番号も予知してほしい」「恋愛運も教えてくれ」といった声が寄せられている。SNS未来予知研究所のAIシステムが、政治の世界に何をもたらすのか。それとも単なる「お遊び」で終わるのか。不祥事予知の正確さが天気予報並みであることを考えると、傘を持って出かけたのに晴れるのと同じくらい、予測と現実にはズレが生じそうだ。しかし、政治家たちの間では「DMが来たら少し気をつけよう」という新たな警戒心が芽生えつつあるという。