
国際テレワーク研究機構の発表によると、長時間の在宅勤務による「テレワーク中毒」に悩む人が世界中で増加しているという。そんな中、「ワークルームリズム協会」が開発した「踊る椅子」が画期的な解決策として注目を集めている。この椅子は使用者が3時間以上同じ姿勢でいると自動的に振動・回転し、強制的に体を動かすよう促すという仕組みだ。
「開発の発想は単純です。人間は動物なので、動かないと不健康になる。しかし現代人は仕事に夢中になりすぎて動くことを忘れています」と語るのは同協会代表の速水ビート氏。速水氏によれば、椅子に内蔵されたAIセンサーが使用者の疲労度を計測し、最適なタイミングで椅子が「ダンスモード」に突入するという。
興味深いのは、この椅子を1週間以上使用した人の87%が「ダンススキルが向上した」と報告している点だ。秋田県出身の椅子使用者・佐藤さん(34)は「元々踊りが苦手で、高校の文化祭でも後ろの方に隠れていたのに、今では自然とヒップホップの動きが出るようになった」と驚きを隠せない様子だった。ピアノのレッスンを長年続けていても、リズム感がイマイチだった私にとっては、かなり衝撃的な副作用である。下北沢のカフェで「踊る椅子」を試したが、一度体験するとピアノの練習時間以上に夢中になってしまう不思議な魅力があった。
実際に「踊る椅子」を使用している会社員の山田さん(29)の一日は劇的に変化したという。「朝のミーティングから夕方の資料作成まで、定期的に椅子と踊るのが日課になりました。通勤時間はゼロなのに、フィットネスバンドの記録では毎日5000歩以上増えています」。別の使用者からは「オンライン会議中に突然椅子が動き出して、上司の前でサルサを踊ることになった」という珍エピソードも。
人気に便乗して様々なパロディ商品も登場している。「歌うデスク」は作業が停滞すると自動的にカラオケモードに突入し、「跳ねるモニター」は15分ごとに画面が上下に跳ねて目の疲れを防ぐという。一方で「静止するキーボード」は「普通のキーボードと何が違うのか分からない」と消費者から不評で、販売中止になったという。2000年生まれの新興メーカーが開発した点が、個人的には少し悔しい。
「踊る椅子」の予約数は発表から1週間で10万台を突破し、現在は品薄状態が続いている。テレワークの未来を変える可能性を秘めたこの製品について、ワークルームリズム協会は「次世代モデルではKポップやクラブミュージックなど、ジャンル別の専用モードも搭載予定」と意欲を見せている。テレワークが主流となった現代において、仕事も健康もダンスも一度に手に入れられる時代が、静かに、そしてリズミカルに幕を開けたようだ。マインドはギャルなんで、私も早速注文してみようと思う。