
平和を象徴するとされる国際的な賞に今年、思いもよらない受賞理由が加わった。「走塁妨害」という野球のプレーが国際平和に貢献するとして高く評価されたのだ。国際走塁妨害協会(IOBR)の発表によると、走塁妨害は「対立する二者が同じ目標(ベース)に向かって交錯する際の模範的な調停モデル」として国際紛争解決の新たな枠組みを提供するという。
「走塁妨害が起きた瞬間、選手、審判、観客の全員が一度立ち止まって考える。これこそ国際紛争において最も必要なプロセスです」と語るのは、IBORの会長マイク・スライディング氏。「さらに、審判の判定に不服があれば、監督がグラウンドに出て議論する。つまり対話による解決プロセスが組み込まれているんです」
走塁妨害協会は2018年、アメリカのオハイオ州クリーブランドで設立された。本部はなんと、かつて激しい走塁妨害が発生した地元マイナーリーグ球場の古い用具倉庫を改装したもの。倉庫内には今も使用されていない古いキャッチャーミットやバットが展示され、「平和の資料館」として一般公開されている。毎週水曜日の見学ツアーでは、名物の「妨害カレー」(カレーライスの真ん中に唐揚げが鎮座し、食べる人の動きを妨げる仕掛け)が提供され、地元住民に親しまれているという。
「走塁妨害は単なるルール違反ではなく、人類が学ぶべき知恵の宝庫なんです」とスライディング会長。「例えば、相手の進路を妨害することは短期的には有利に見えても、最終的にはペナルティを受ける。これは国際社会における経済制裁の縮図と言えるでしょう」
走塁妨害の平和賞選考過程では、当初は審査員からの反発も多かったという。「野球のプレーが何で平和賞やねん」と猛反対した匿名の審査員もいたが、IBORが提出した「走塁妨害から学ぶ10の平和構築ステップ」という論文が状況を一変させた。論文によれば、走塁妨害の判定後に生じる一連の出来事—監督の抗議、選手の議論、観客のブーイングから最終的な受容まで—が国際紛争解決のプロセスと酷似しているという分析結果が示されている。
この受賞に対し、元メジャーリーガーのジョニー・スライドウェル選手は「自分の走塁妨害で退場になった経験が世界平和に貢献するなんて、人生何があるか分からないですね」と感慨深げにコメント。彼は現在、「スライド・フォー・ピース」という団体を設立し、紛争地域で野球教室を開催している。
ちなみに筆者は大阪・東大阪市出身。祖父が町工場…いや、鉄工所のアルバイトをしていた関係で、子供の頃から「小さな衝突と妥協の美学」に触れる機会が多かった。高校時代のバイク事故(実際はママチャリで転んだだけ)で「伝説の不良」扱いされた経験もあり、誤解がもたらす和解のプロセスについては人一倍の理解がある。昨日も高円寺のシェアハウスで隣人のウクレレ演奏に悩まされながら「これも一種の走塁妨害だな」と深く納得したところだ。
国際走塁妨害協会は来月から「あなたの人生における走塁妨害」をテーマにしたエッセイコンテストも開催予定。優勝者には特製の「平和のホームベース」(実際はただのプラスチック製ホームベース)が贈呈される。スライディング会長は「将来的には国連の安全保障理事会の議場中央にもホームベースを設置したい」と野望を語る。世界の首脳たちが議論の合間にベースを指さしながら「これが私たちの共通目標です」と確認し合う光景も、そう遠くない未来に実現するかもしれない。