
次期衆院選を前に突如その存在が明らかになった架空政党「日用品党」が、選挙公約に「掃除機とフライパンで作る超音速ジェットコースター」を掲げ、全国の有権者をざわつかせている。特に主婦層からは「それはただの大掃除では?」と厳しいツッコミが入り、SNS上でもハッシュタグ「#それただの家事」が急速に拡散中だ。
日用品党の党首・洗濯機田拭子氏(42)は先日の記者会見で「家庭にある日用品の可能性を最大限に引き出す政治を実現します」と力強く宣言。公約の目玉である「超音速ジェットコースター」は掃除機の吸引力でフライパンを滑走させ、それをレールとして全国の主要都市を結ぶという斬新なものだ。「つまり、床を掃除しながら通勤できる画期的なシステムです」と洗濯機田氏は真顔で説明した。
しかし、この公約に対して名古屋在住の主婦・佐藤さん(38)は「それって結局、家の中を掃除機かけてフライパンで埃を集めてるだけじゃないですか?週末の大掃除と同じことをしてるだけです」と指摘。この発言がSNS上で1万回以上リツイートされ、主婦層を中心に「政治家は家事をしないからこういう勘違いが生まれる」という批判の声が広がっている。
日用品党は昨年12月、「家事育児をもっと楽しく、夢のある社会に」をスローガンに結成された。創設メンバーは元おもちゃメーカーの開発者や、家電評論家など7名。政党名簿には「台所用品大臣」「洗剤担当副大臣」など、従来の政治体制では見られない役職が並び、政治評論家たちを困惑させている。
一方、名古屋家庭研究所(架空)の近藤洗太郎所長(架空)は「日用品の新たな使い道」に関する調査結果を発表。「アイロンを使った雪かきは効率が7.2倍向上する」「ざるとフードプロセッサーを組み合わせれば、自家発電が可能になる」など、科学的根拠が不明瞭な内容ながら、「主婦の知恵を国政に活かす試み」として一部から支持を集めている。
しかし、この研究所自体が怪しいという声も。筆者が所在地とされる名古屋市千種区のとある雑居ビルを訪れると、そこにあったのは「布団干しテラス」という看板だけ。電話番号も繋がらず、メールアドレスに問い合わせると「洗濯物は風に乗って宇宙まで届く」という意味不明な自動返信が届くのみだった。名古屋市の住民台帳にも、近藤洗太郎氏の名前はない。
それでも日用品党は現在、予想外の支持率5.2%を記録。特に20代の若年層からは「政治をもっとシュールにしてほしい」という声が上がっている。同党は次なる公約として「トースターで作るタイムマシン」を発表予定だが、すでに物理学者から「それはただのトースト」という厳しい指摘が届いているという。
政治とエンターテイメントの境界線を曖昧にした日用品党の今後の動向に注目が集まる。現実の政治に疲れた有権者の受け皿になるのか、それとも単なる「大掃除政党」として片付けられるのか。ちなみに筆者は先日、洗濯機の上に乗ってみたが、タイムマシンどころか軽く腰を痛めただけだった。政治もバス旅と同じ、終点まで行ってみないと見えないものがあるのかもしれない。猫のくしゃみが止まらないように、この政党の行方も予測不能だ。(みつき)