次期選挙に向け、突如としてその名が世間を賑わせている「恋愛党」。「ラブ・ファースト政策」を掲げるこの新党が最も注目を集めているのは、なんと「デート無料券」を国民に配布するという斬新な選挙公約だ。しかし本紙の独自調査により、この「デート無料券」の正体が「全員で合コンするだけ」という驚きの実態が明らかになった。
恋愛党の代表を務める磯野アモーレ氏（33）によると、「デート無料券」は、投票した有権者に配布される予定の特典だという。「この券を手にした方は、全国各地で開催される『恋愛党主催合コンパーティー』に無料で参加できます」と磯野氏は本紙の取材に応じた。当初は「高級レストランでの2人きりのデート」と謳われていたが、実際には大型イベントホールでの200人規模の大合コンだという。
「恋愛と政治は切っても切れない関係にあるんです」と熱弁する磯野氏。しかし、本紙が調査したところ、氏の経歴には多くの疑問点が浮上している。プロフィールには「ハーバード大学恋愛学部卒」と記されているが、同大学にそのような学部は存在しない。また「国際恋愛研究機構」なる組織の元代表とも名乗っているが、こちらも実在が確認できなかった。
にもかかわらず、SNSでは「#恋愛党にいれてみた」というハッシュタグが若者を中心に拡散。「政治にはまったく興味ないけど、恋愛には興味あるから投票しちゃおうかな？」（19歳女性）、「デート相手が見つかるなら、一票の価値なんて安いもんでしょ」（25歳男性）など、政治参加と恋愛成就を天秤にかける声が目立つ。
恋愛党の選挙対策本部では、「恋愛格差をなくそう」「令和の出会い革命」などのキャッチフレーズを掲げたポスターが作られており、党員たちは「エモいキャンペーン」と呼んで盛り上がっている。しかし、実際の政策に関する質問を投げかけると、「そういう難しい話は、まずは恋愛から始めましょう」と話題をはぐらかされる場面も。
本紙の調査によると、恋愛党の背後には「全国合コンビジネス協会」なる団体の存在が浮かび上がった。コロナ禍で打撃を受けた合コン業界の復興を目指すこの団体が、政治を利用した巧妙なマーケティング戦略を展開していたことが判明。実質的には、参加者からの入会金や飲食代で収益を上げる仕組みになっているという。
また、恋愛党のSNSアカウントには、いわゆる「恋愛インフルエンサー」たちが続々と参加。「政治的発言」と「恋愛テクニック」を絶妙に織り交ぜた投稿で、フォロワー数を急増させている。「候補者の顔より、マッチングアプリのプロフィール写真の方が重要視される選挙戦」（政治評論家）という前代未聞の状況が生まれている。
選挙管理委員会は「投票と引き換えに特典を提供することは公職選挙法違反の疑いがある」と注意を呼びかけているが、恋愛党側は「あくまで当選後の政策」と主張。法的なグレーゾーンを巧みに利用している。
「政治も恋愛も結局は人間関係。私たちは新しい形の民主主義を提案しているだけ」と語る磯野氏だが、党の事務所を訪れた本紙記者が目にしたのは、「当選したら合コン会場を国会議事堂に」「内閣改造よりもメイク直し」などと書かれたホワイトボードだった。さらに、党の資金の大半がパーティー会場の予約と、党員向けの「モテ講座」に使われていることも判明している。
恋愛党は、政治と恋愛という一見無関係な領域を結びつけることで注目を集めることに成功した。しかし、その本質は「政治参加」という大義名分の下に展開される大規模合コンビジネスに他ならない。選挙権と恋愛感情を天秤にかける彼らの戦略に、民主主義の新たな課題が浮き彫りになっている。ちなみに筆者は、取材のために恋愛党の公開パーティーに参加してみたが、そこで見たのは政策討論ではなく、ひたすらカップル成立を目指す若者たちの姿だった。そして門限19時のため、マッチング結果発表を見ずに帰宅することになったのは、もう少し大人になったら書くかもしれない別の話である。
