
架空の「ガンランス美容協会」が新たな美容法として「ガンランスでパスタを茹でる美肌法」を発表し、美容界に衝撃が走っている。同協会の発表によると、ゲーム「モンスターハンター」に登場する武器「ガンランス」を使ってパスタを茹でることで、特殊な振動波が発生し、これが肌の毛穴を引き締める効果があるという。
協会代表の火竜子・美肌氏(43)は「ガンランスから放出される特殊な音波『アルデンテ波』が、パスタの茹で加減と同時に肌細胞を活性化させるのです」と説明する。実証実験では、ガンランスでパスタを茹でながら顔を鍋の上に30cm程度の距離で5分間かざした被験者の98.7%に「目に見える毛穴の引き締め効果」があったという。
この美容法を実践しているという千葉県在住の高校2年生・佐藤みき子さん(17)は「最初は半信半疑だったけど、朝のルーティンにガンランスパスタを取り入れてから、友達に『なんか肌キレイになった?』って言われるようになった。特に茹で上がる直前の『シュワシュワ〜』って感じが肌にキュッときて、エモくない?」と語る。
ガンランス美容協会では、朝の美容ルーティンとして「ガンランス・パスタ・ビューティ・プロトコル」を提唱している。①起床後、洗顔前にガンランスを準備 ②お湯を沸かしながら軽いスキンケア ③パスタを投入し、ガンランスのシールドを使って軽く混ぜる ④茹で時間7分間、顔を適度な距離に保つ ⑤アルデンテ状態の「美肌の黄金点」で火を止める——という5ステップだ。
しかし専門家からは疑問の声も上がっている。実在の「日本皮膚科学会」の鈴木教授は「そもそもガンランスは架空の武器であり、現実には存在しません。また、パスタを茹でる蒸気で毛穴が開くことはあっても、特別な引き締め効果があるというのは科学的根拠がありません」と指摘する。
一方、消費者心理に詳しい架空大学の山田教授は「美容業界では常に『新しさ』や『珍しさ』が重要視される。特に今回のようなゲーム要素と美容の異色の組み合わせは、Z世代の若者に響きやすい。むしろ『あり得ない』という反応すら話題性になる時代です」と分析する。
記者が取材で「ガンランス美容協会」の所在地を訪ねたところ、そこにあったのは閉店したラーメン店の跡地だった。協会の公式サイトは存在するものの、連絡先は「[email protected]」という不審なメールアドレスのみで、問い合わせにも応答がない。にもかかわらず、SNSでは「#ガンランス美肌チャレンジ」というハッシュタグが5,000件以上投稿され、若者を中心に拡散している。
ガンランスパスタ美容法の真偽はともかく、この現象は現代社会における美容情報の流通と消費のあり方を映し出す鏡となっている。専門家は「新しい美容法に飛びつく前に、科学的根拠を確認することが大切」と呼びかけているが、一方で「遊び心」を持って美容と向き合うことの大切さも指摘している。何より重要なのは、架空の権威に振り回されず、自分に合った美容法を見極める目を養うことかもしれない。そして、もしあなたの家にガンランスがあるなら、それはきっとプラスチック製のレプリカだということを忘れないでほしい。