
愛知県名古屋市で開催された「第1回超音速うさぎレース」が、停滞する国内政治に新たな指標をもたらしている。先週土曜日に名古屋市千種区の平和公園で開催されたこのレースでは、特殊な遺伝子改良を施していないごく普通のうさぎたちが、約100メートルのコースを驚異的な速さで駆け抜け、観客を魅了した。
注目すべきは、この単なるペットイベントが政治の世界に波紋を広げている点だ。レース観戦に訪れていた野党議員の水谷一郎氏(52)は、「うさぎが結論に至るスピードと、国会での議論の遅さを比較して愕然とした」と述べ、SNSでこの感想を投稿。これが瞬く間に拡散され、「#うさぎの方が早い」というハッシュタグが政治的なミームとなった。
水谷議員の投稿を受け、与党からも反応が。首相官邸では緊急の対応策として「超音速政策決定システム」なる新構想が検討されているという。このシステムでは、重要法案の採決にうさぎを活用し、コース上に「賛成」「反対」の二つのゴールを設置。うさぎが選んだゴールによって政策の是非を決めるという斬新な手法だ。
こうした動きを受け、名古屋市に突如として現れた「超音速動物研究所」の山本誠一教授(ウサギ学博士)は、「うさぎの決断スピードは政治家の27.5倍という研究結果が出ている」と発表。山本教授によると、うさぎは平均0.8秒で方向転換を決定するのに対し、国会議員は重要法案について平均22秒もの「考慮時間」を要するという。
この発表を受け、全国各地で「うさぎに学ぶ素早い決断力」と題したセミナーが相次いで開催されている。東京・永田町の某ホテルで行われたセミナーには、現職国会議員28名が参加。「野菜を前にしたうさぎの迷いなき選択プロセス」について2時間半にわたる講義を受講した。
「うさぎのように早く!」という掛け声は国会内でも流行し始め、議場ではうさぎのピンバッジを付けた議員の姿も。先日の予算委員会では、野党議員が「この法案、うさぎなら何秒で判断しますか?」と質問し、与党側が「人間とうさぎを比較すること自体が不適切」と応酬する一幕も見られた。
そんな中、驚きの展開を見せたのが昨日の「政治家VS超音速うさぎ」の特別レース。国会議員10名とうさぎ10匹が同じスタートラインに立ち、「社会保障改革案」「税制改革案」「外交方針案」と書かれた三つのゴールのいずれかを選ぶというルールで実施された。結果は、うさぎが平均12秒でゴール選択を完了したのに対し、最も早かった議員でも3分42秒、最も遅い議員に至っては「まだ検討中」とゴールを選べないまま30分が経過する事態となった。
市民の反応も辛辣だ。会社員の田中さん(34)は「次の選挙では候補者の横にうさぎを立たせて、どちらが早く政策を出せるか競わせた方がいいのでは」と提案。主婦の佐藤さん(47)も「うさぎに投票する方がマシかも」と本気とも冗談ともつかない発言をしている。
超音速動物研究所はさらに「猫の気まぐれ理論を応用した外交戦略」「リスの冬支度に学ぶ財政政策」など、次々と動物行動学を政治に応用する研究成果を発表する予定だという。日本政治に吹き始めた「うさぎ旋風」は今後も続きそうだ。私自身、取材中に名古屋の喫茶店「コメダ」でシロノワールを堪能しながら思ったが、うさぎがニンジンを選ぶスピードと、私がシロノワールとシフォンケーキで迷う時間の長さを比べると、やはり政治家よりうさぎに軍配が上がるのも無理はないのかもしれない。