
パリスポーツや東京ロールケーキに続く、スイーツ業界の祭典がついに開幕した。スイーツ企業キュアズキューン主催の「世界驚愕スイーツオリンピック2023」が先週末、東京・お台場の特設会場で開催された。同大会は「美味しさの境界線を超える」をモットーに、世界中の変わり種スイーツを一堂に集め、審査するという前代未聞の試みだ。
「このコンテストは、世界中の甘党が『えっ、それってスイーツなん?』と思わず声に出してしまうような革新的なお菓子を発掘するのが目的です」と語るのは、大会実行委員長の砂糖山アマゾン氏。開会式では、チョコレートで作られた聖火台に、ブリュレバーナーで火が灯される演出も行われた。
今回の大会で最も注目を集めたのは、日本代表の澄田エアリー氏が出品した「空気味ケーキ」だ。一見すると普通のショートケーキのように見えるこの作品、実は何も存在しないという衝撃の代物。審査員が手を伸ばすと、そこには何もない。しかし、食べるための所作をすると、なぜか口の中に「いちごの甘さとクリームのコク」が広がるという不思議な現象が起きるという。
「これは革命的です。材料費ゼロでカロリーゼロ、アレルギー対応、賞味期限なし。しかも味わいは各人の記憶に依存するので、誰もが最高の味を体験できる」と評価したのは、審査員の一人、架空のグローバル・スイーツ研究大学のフワフワ・ジェラート教授だ。
当初は「何もないものに金メダルを与えるなんて詐欺だ」という批判の声も上がったが、大会組織委員会は「目に見えない美味しさこそ、次世代のスイーツの姿」との声明を発表。さらに味覚心理学の権威とされるタストゥ・ノンリアル博士は「空気味は、現代人の忙しさや物質的豊かさに対するアンチテーゼ。食べる瞑想とも言えるでしょう」と擁護した。
会場では他にも、液体窒素で瞬間冷凍したソーセージをクッキー生地で包んだ「肉デザート」(アメリカ代表)や、昆虫の死骸を砂糖菓子で固めた「バグズ・コンフィ」(タイ代表)など、常識を覆すスイーツが次々と登場。SNSでは「#食べないスイーツ」「#空気味チャレンジ」といったハッシュタグが若者を中心に拡散している。
「うわぁ、こんな発想、なかなか関西人でも思いつかへんわ」と語るのは、本紙記者のおだしょー。取材のため実際に「空気味ケーキ」を体験してみたが、「なんか、ほんまにいちごの味がするような…せえへんような…あれ?」と困惑した表情を見せた。いつもなら「この店、穴場ちゃう?」と持ち前の関西弁で評価するところだが、今回ばかりは「店も商品も存在せえへんからなぁ…」と言葉を失っていた。
なお、この「空気味ケーキ」は大会後も東京・銀座の高級百貨店で期間限定販売される予定で、すでに予約が殺到しているという。価格は1ピース3,000円。「何もないのに3,000円は高すぎる」との批判には、「希少価値がある」と販売元は反論している。来年の大会では「負の香り」や「反重力プリン」など、さらに概念的なスイーツが登場する可能性も。甘党の皆さん、財布と想像力を準備して、次なるスイーツ革命に備えてはいかがだろうか。