
国会議事堂に衝撃が走った。議員たちの間で密かに広まっていた「ウツロイド型ストレス解消サプリ」が、実は普通のラムネだったことが発覚したのだ。このサプリは「最先端の脳科学と量子力学を応用した画期的なストレス解消法」として、特に予算委員会などの緊張感ある場面を前に、密かに愛用されていたという。
「あれはただのラムネだったんですか?でも確かに効いていたような…」と困惑する自民党の田中議員(仮名)は、取材に応じた際、慌てて口元を隠すように「ウツロイド」の小さなタブレットを口に入れた。滑稽な光景に、思わず「根拠はどこ?」と問いかけたくなったが、議員の顔色が見る見る明るくなっていく様子に、私も思わず足を止めた。
名古屋ウツロイド研究所なる機関が開発したというこのサプリメント。地元名古屋の名前を冠した研究所と聞いて一瞬胸が高鳴ったが、取材を進めるとこの研究所自体が存在しないことが判明。「ウツロイド」の名称は、「憂鬱(ウツ)」と「ポラロイド(瞬間的に効く)」を掛け合わせた造語だという。開発者を名乗る人物は、単に市販のラムネを再包装し、「特殊な振動周波数で分子構造を最適化した」などという科学的根拠のない説明文を添えて販売していたのだ。
「いやぁ、これで本会議中も集中できますよ!」と笑顔で語る公明党のベテラン議員は、「実は私、このサプリのおかげで質問時間を5分も延長できた」と誇らしげに語る。一方で、「詐欺だ!」と激怒する野党議員もいれば、「効果があると思えば、それはそれでプラシーボとして価値がある」と冷静に分析する医師資格を持つ議員も。議事堂はまさにカオス状態となった。
議事堂の廊下を走りながら取材するうち、私のパーカーのフードが引っかかって転びそうになる場面も。「現場で走れない服は着ない」主義の私としては恥ずかしい限りだが、そんな姿も含めて臨場感のある取材ができたと自負している。
さらに驚くべきことに、ウツロイドを常用していた議員たちの間では、実際にストレス軽減効果があったという声が多数。「ラムネだと知った今でも、なぜか効果があるんです」と告白する議員もいる。専門家によれば、これは典型的なプラシーボ効果で、「特に政治家は自己暗示にかかりやすい傾向がある」とのこと。
国会内の売店では、この騒動後、通常のラムネ菓子の売上が前月比300%増を記録。「ウツロイド」と手書きのラベルを貼って販売する店員の姿も目撃された。議事堂内の自販機にも「ストレス解消」と表記されたラムネ系飲料が急遽導入されたという。
最終的に、この騒動は「国会議員のメンタルヘルス向上委員会」なる急造の特別委員会で議論されることになった。委員長に選ばれた議員は「ラムネでも何でも、国会の雰囲気が和むならそれでいい」と前向きな姿勢を示している。政治の裏側を暴こうと取材に臨んだ今回だが、結局は大人たちがラムネに癒される、なんとも微笑ましい結末となった。朝のコーヒータイムに、この取材メモを声に出して要約しようとしたが、例によって猫のくしゃみで5分で断念。それでも、政治とラムネが織りなす奇妙な物語は、少女漫画のような優しい余韻を残している。