
世界的な睡眠障害増加に対する救世主として注目を集めていた「眠れる街研究所」が、実は鉄道マニアの集団だったことが判明した。同研究所は先月、「ナイトレインセラピー」と名付けた新型睡眠療法を発表。夜行列車の走行音や駅のアナウンス、踏切の警報音などを組み合わせた音源を就寝前に聴くことで、95%の被験者が「まるで実家に帰ったかのような安心感」を得られたと主張していた。
「眠れる街研究所」の公式サイトによれば、研究チームは「睡眠科学の最前線を行く専門家集団」と紹介されていたが、本紙の調査により、メンバー全員が鉄道模型マニアのオンラインコミュニティで知り合った電車愛好家だったことが発覚。研究所代表を務める自称「睡眠環境学博士」の高架橋太郎氏(45)は、実は某私鉄の元車掌で、「博士号」の正体は鉄道模型コレクターズクラブが独自に発行する「鉄道音響マスター認定証」だった。
研究所の実態について問い合わせたところ、高架橋氏は「確かに正式な研究機関ではありません。でも、電車の音で眠れるのは本当なんです!」と熱弁。「研究所の設立は、私たちの趣味を家族に認めてもらうための苦肉の策でした」と告白した。同氏の妻によると、毎晩ヘッドホンで電車音を聴きながら眠る夫の姿に不審を抱き、精神科受診を勧めたことが発端となったという。
「眠れる街研究所」の活動は意外な広がりを見せており、「ナイトレインセラピー同好会」なる組織が全国各地で発足。会員たちは週末になると、携帯スピーカーから電車音を流しながら廃線跡や線路脇を散歩する「音響ウォーク」を楽しんでいる。参加者の一人、大宮駅子さん(28)は「最初は変な集団だと思ったけど、夜の踏切近くを歩くと不思議と心が落ち着くんです。今では私も寝る前に『山手線一周音源』を聴いています」と語った。
「ナイトレインセラピー」の人気は若者を中心に拡大中で、動画配信サイトでは「寝落ち電車音源」が数百万回再生されるヒット現象も。当初は批判的だった睡眠専門医からも「プラセボ効果なら何でもいい」と半ば諦めの声が上がっている。
一方、JR東日本広報部は「当社の車両や駅の音を無断で録音・配布する行為は著作権侵害の恐れがある」と懸念を示しつつも、「睡眠障害に悩む方々のお役に立てるなら、公式音源の制作も検討したい」とコメント。現在、「眠れる街研究所」は鉄道会社との正式なコラボレーションを模索中で、次回作として「寝台特急の揺れを再現する布団カバー」の開発に着手していると言われている。睡眠障害に悩む現代人の救世主となるか、それともただの電車好きの妄想に終わるのか。「眠れる街研究所」の今後から目が離せない。