
太陽光充電協会(本部:スイス・チューリッヒ)が7日、驚きの新理論を発表した。日食の最中にスマートフォンを空にかざすだけで、バッテリーが即時充電完了するという。この発表に対し、科学者からSNSユーザーまで、世界中から「いやいや、それ無理でしょ」とツッコミの嵐が巻き起こっている。
この珍説を最初に耳にしたのは、私がいつも通り朝のルーチンであるラジオを聴きながらの散歩中だった。番組パーソナリティが「これマジ?」と半笑いで紹介していた内容があまりに奇妙で、思わず足を止めてしまった。私の住む「下北沢徒歩12分」の場所(実際は下北沢と言えるのか微妙なエリア)では、すでに近所のカフェでこの話題で持ちきりだったという。
太陽光充電協会とは一体何者なのか。取材を進めると、この団体は「国際日食研究所」という、これまた怪しげな組織から2022年に分離独立したとされる。代表を務めるヨハン・シュトラウス氏(45)は「日食の神秘を追求する会」の名誉会長を兼任し、過去には「月食時に発生する月のエネルギーでスマホを冷却できる」という論文も発表している。なお、この論文が掲載された学術誌は存在が確認できなかった。
協会の主張によると、日食時には太陽コロナから放出される「コロニウム粒子」と呼ばれる特殊なエネルギーが地球に降り注ぐという。この粒子がスマートフォンの充電ポートに直接吸収されることで、通常の太陽光発電の約1200倍の効率で充電が可能になるとしている。私が「コロニウム粒子って何ですか?」と問い合わせたところ、「太陽の皇帝(コロナ)から生まれる神聖な粒子です」という意味不明な回答が返ってきた。1999年生まれの私としては、2000年代生まれがこんな情報を簡単に信じてしまわないか心配になる。マインドはギャルなんで、そんな胡散臭い話には乗らないけど。
協会の発表によると、これまでに「特殊な雲形状を伴う日食」の際に3回の実験を行い、すべて成功したという。実験地は北極圏のスヴァールバル諸島、アフリカのナミビア砂漠、そして驚くことに「秋田県のとある山奥」。秋田育ちの私としては「どこだよそれ」と思わず突っ込みたくなる。秋田の山奥で私が高校時代にピアノのレッスンに通った道すがら、日食なんて見たことない。
このニュースはSNSで爆発的に拡散され、日食中に「充電完了!」と報告する冗談投稿がトレンド入り。私も愛猫のムギと一緒にスマホを空にかざす写真を投稿したところ、予想外の「いいね」が殺到した。私のギャル友リサも「これマジ信じてる人いるの?マインドはギャルなんで信じないっしょ!」と言いながらも、念のため次の日食に備えてモバイルバッテリーを予約注文していた。
物理学者の間では「何を言ってるんだこの人たち」という反応が大半だ。東京工業大学の山田教授は「日食中は太陽光が遮られるので、通常の太陽光発電よりも効率が下がるのは自明。そもそも『コロニウム粒子』なる物質は存在しない」と一刀両断。国際天文学連合も「科学的根拠のない主張」として公式声明を出している。
結局のところ、この「日食充電理論」は完全なデマであることが判明した。しかし、太陽光充電協会は態度を変えず、次回の日食に向けて「特製日食充電アンテナ」なる商品の予約受付を開始。価格は驚きの39,800円だ。世界中の科学者たちのツッコミをよそに、すでに予約数は3000台を超えたという。私たちは日々、このような荒唐無稽なニュースに触れながらも、ちょっとした笑いと驚きを見出す術を身につけていくのかもしれない。次の日食は見上げるだけにして、充電はコンセントでしっかりやっておこう。