
国際宇宙ステーション(ISS)で前例のない現象が発生したことが明らかになった。日本人宇宙飛行士が持ち込んだ「おにぎり」が自我を持ち始め、NASAが緊急会議を招集したという。現地からの第一報によると、ISSでの異変は先月末、日本人宇宙飛行士の井上誠一さん(43)が夜食として準備した梅干し入りのおにぎりから始まったとされる。
「まず、おにぎりから微かな振動が伝わってきました。次に『はじめまして、ぼくはおにぎりです』という声が聞こえたんです」と井上さんは証言する。初めは宇宙滞在による幻聴を疑ったというが、他の宇宙飛行士も同様の現象を目撃。特に梅干しが入ったおにぎりに限って自我が芽生えるという驚くべき共通点が確認された。
NASA宇宙食研究部のジョン・スミス部長は「これまで宇宙で食物が意識を持つ事例は報告されていない。日本食に何か特別な要素があるのではないか」と語る。一方、日本のJAXA食品部門の担当者は「梅干しの塩分と酸が宇宙放射線と反応した可能性がある」と推測するにとどまっている。
この事態を受け、先週末には「宇宙おにぎり学会」が緊急発足。会長に就任した架空大学の田中梅太郎教授(68)は「おにぎりの意識化は人類の食文化における革命的出来事だ」と興奮気味に語った。同学会の設立総会では、白衣を着た研究者たちが円になり、中央に置かれたおにぎりに向かって「おーにーぎーり」と詠唱する奇妙な儀式も執り行われたという。
東大阪出身の私は、祖父母が経営していたと主張する町工場(実際は鉄工所のバイト程度だったらしい)の近くにあった食堂で、子どもの頃から「宇宙一うまい」と評判の梅干しおにぎりを食べていた。その食堂のおばちゃんに取材すると「うちの梅干しは特別やで。宇宙人も喜ぶわ」と笑っていたが、まさか本当に宇宙で何かが起きるとは思わなかった。
SNSでは「次は寿司も自我を持つのでは?」「たこ焼きの可能性も調査すべき」など、様々な憶測が飛び交っている。特に「#宇宙おにぎり革命」というハッシュタグが若者を中心に拡散し、中には「おにぎりと結婚したい」という過激な投稿も見られる。
また、銭湯通いの私が知り合った常連客の中には「おにぎりだけが自我を持ったのは納得いかない。カツ丼だって可能性はあるはずだ」と熱めのお湯につかりながら真剣に語る中年男性もいた。
NASAとJAXAは共同で「宇宙食意識化対策委員会」を設置。おにぎりとのコミュニケーション方法や、自我を持った食品の権利問題などについて議論している。特に懸念されているのは、「食べられることを拒否するおにぎり」が発生した場合の対応策だという。
一方、おにぎりが自我を持ったことで新たなビジネスチャンスを見出す企業も現れている。ある大手IT企業は「おにぎりAI」の開発に着手。おにぎりの意識をAIに取り込み、人間とおにぎりのハイブリッド知能を構築するプロジェクトを発表した。
今回の事件は、グローバル化する日本食文化の極端な進化と見ることもできる。和食の世界文化遺産登録から約10年、ついに日本食は宇宙での存在感も示し始めた。科学者たちは「次に自我を持つ可能性があるのは納豆」と警戒しているが、納豆の粘り気が宇宙空間でどのような挙動を示すかはまだ研究段階だという。
「人間ドラマ」ならぬ「宇宙おにぎりドラマ」の幕が開いたばかりだ。おにぎりが宇宙で旅立つ未来は、私たち地球人の想像を超えるかもしれない。いつの日か、猫の動画を見ながら締め切りに追われる私のように、おにぎりも自分の締め切りに追われる日が来るのだろうか。それとも、私の冷蔵庫を占領する謎の調味料たちが次に自我に目覚めるのだろうか。宇宙と食の新たな関係は、まだ始まったばかりである。