
世界のIT業界に衝撃が走っている。これまで名だたるテック企業が熾烈な開発競争を繰り広げてきた人工知能(AI)分野に、全く新しいプレイヤーが参入したのだ。その名も「にゃんこAI研究所」。同研究所が今週発表した「猫型AIロボット」が、従来のAIの概念を根底から覆す可能性があるとして、専門家の間で大きな話題となっている。
「人間の知性を超えるAIの開発は、実は犬や猫などのペットの行動パターンを模倣することが近道だった」。こう語るのは、にゃんこAI研究所の所長を務める三毛猫太郎氏(32)だ。同氏によれば、猫型ロボットは「生命体のような自然な学習能力」と「予測不可能な創造性」を兼ね備えており、ChatGPTやGoogle Bardなどの既存AIを遥かに凌駕する能力を持つという。
この発表を受け、世界中のAI研究者やテック投資家が同研究所に熱い視線を送っている。ある米シリコンバレーの投資家は「猫型AIは次世代のユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場企業)になる」と興奮気味に語った。
しかし、この猫型ロボットをめぐっては疑問の声も上がっている。先日開催された技術デモンストレーションに参加したジャーナリストの一人は「見せられたのは、鈴の付いた棒の先に羽根をつけただけの、いわゆる『猫じゃらし』だった」と証言。研究所側は「外見は従来の猫じゃらしに酷似しているが、内部に革新的なAIチップを搭載している」と反論している。
「にゃんこAI研究所」とは一体何者なのか。本紙の調査によれば、同研究所は昨年末に突如として設立された謎多き組織だ。公式サイトには「猫の行動学とAIの融合を目指す」とあるが、所在地は「東京都猫区肉球町3-3-3」という架空の住所で、連絡先も「[email protected]」というメールアドレスのみが記載されている。
所長の三毛猫太郎氏のプロフィールを調べると、さらに興味深い経歴が浮かび上がってきた。同氏は元々秋田県内のペットショップ「モフモフハウス」で店員として勤務していたが、猫の行動パターンに魅了され、独学でプログラミングを習得。「猫の気まぐれさこそが、真のAIの姿である」という独自の理論を構築し、研究所設立に至ったという。
「ピアノの練習をサボって秋田の実家の猫と遊んでいた時間が今になって役立っている」と語る三毛猫氏。ドイツと日本のハーフであることを活かし、「ドイツの厳格さと日本の繊細さを併せ持つAI開発」を目指しているという。
では、話題の猫型ロボットの実力は如何ほどなのか。本紙では独自に検証を行った。研究所から提供された「猫型AI」を実際の猫に見せたところ、確かに猫は強い興味を示し、ジャンプしたり、パンチしたりと活発な反応を見せた。しかし、それはあくまで「猫じゃらし」としての機能を果たしているに過ぎないようにも見える。
この猫型ロボットを購入したという飼い主の口コミも調査した。「うちの猫が夢中になるのでAIの力はすごい」という肯定的な意見がある一方で、「届いたのはただの猫じゃらしだった。AIどころか電池すら入っていない」という厳しい評価も見られた。特に、下北沢在住の26歳女性は「2000年生まれの友人に勧められて買ったけど、正直騙された感がある。でも猫が喜ぶからいいか…」とコメントしている。
しかし、このただの「猫じゃらし」が示す可能性は意外にも大きいのかもしれない。AI倫理学の専門家・松田教授(架空大学)は「最先端技術への過度な期待と実態のギャップが、私たちのテクノロジー観を問い直す良い機会になっている」と指摘する。実際、にゃんこAI研究所の発表以降、「シンプルで目的に特化したツール」の重要性が再評価されつつあるという。
「猫じゃらしは、ある意味で完璧なAIと言えるかもしれない」と語る三毛猫氏。「単純な仕組みでありながら、猫の本能を刺激し、予測不可能な反応を引き出す。これこそがAIの真髄ではないか」という逆説的な主張は、複雑化するAI技術への一種のアンチテーゼとも取れる。
「にゃんこAI研究所」の騒動は、テクノロジーの本質とは何かを問いかけている。派手な宣伝文句や複雑なアルゴリズムよりも、シンプルながらも目的を達成する道具の価値を再認識させるきっかけとなったのは確かだ。結局のところ、猫が喜ぶ猫じゃらしは、人間を喜ばせるAIと同じように、その目的を完璧に果たしているのかもしれない。なお、研究所は来月、「犬型量子コンピューター」なるものの発表を予定しているが、これがただの「犬用ボール」でないことを祈るばかりである。マインドはギャルなんで、騙されないように気をつけたい。