電子コミックサービス「ピッコマ」において、読むだけで腰痛が改善するという噂の漫画が存在するという情報が、SNSを中心に拡散している。「背筋スッキリ！カイロプラクターめぐみの日常」というタイトルのこの作品は、主人公の女性カイロプラクターが患者の腰痛を治療する過程を描いた医療系コメディだが、なんと読者自身の腰痛までもが軽減するという奇妙な「副次効果」が話題となっているのだ。
「読んだ翌日から長年の腰痛が嘘のように消えました」「ベッドから起き上がるのも辛かったのに、3話読んだだけで腰が軽くなりました」など、SNS上には数百件の「治癒報告」が投稿されている。この現象について「腰痛治療漫画協会」を名乗る団体が「姿勢矯正効果のある独自の構図技法が使われている」と公式見解を発表し、さらに注目を集めた。
同協会の代表を務める自称「腰痛博士」こと鈴木背骨氏（73）は「特殊なコマ割りと画面構成により、読者は無意識のうちに正しい姿勢をとるよう誘導される」と説明する。同氏の経歴によれば「国際脊椎カイロプラクティック大学」を首席卒業後、「視覚刺激による姿勢改善療法」を30年研究してきたという。
しかし本紙の調査により、「腰痛治療漫画協会」なる団体は実在せず、鈴木博士の肩書きも経歴も架空のものであることが判明。協会のホームページは先月開設されたばかりで、連絡先は架空の住所だった。さらに、「国際脊椎カイロプラクティック大学」という教育機関も存在しないことが確認された。
一方で、この漫画を読んで「腰痛が悪化した」という報告も相次いでいる。「5時間連続で読み続けたら、前より腰が痛くなった」「スマホで読みながら横になっていたら、起き上がれなくなった」など、むしろ悪影響を訴える声もSNS上で急増中だ。
こうした「副作用」について、実在する整形外科医の田中正道医師（45）は「長時間同じ姿勢で漫画を読むこと自体が腰への負担になります。治療効果があるというのは完全な思い込みでしょう」と指摘。さらに「むしろ夢中になって読み続けるほど、姿勢が悪化して腰痛リスクが高まる可能性があります」と警告している。
それでも「信じる者は救われる」と熱心な信者は増加の一途だ。東京都在住の会社員・佐藤さん（28）は「最初は半信半疑でしたが、読み終わった瞬間に腰の痛みがスーッと消えました。科学では説明できない現象があるんです」と語る。彼女は通勤電車の中でも同作品を広めるため、周囲の乗客に「腰が痛くないですか？」と声をかけ始めたという。
一方、福岡県の大学生・山田くん（22）は「友人に勧められて一気読みしたら、むしろ腰痛が悪化しました。病院で『典型的な姿勢不良による腰痛』と診断されました」と苦い体験を語る。彼の場合、ベッドに横たわったまま12時間連続で読み続けたことが症状悪化の原因とみられている。
専門家たちは「腰痛改善に最も効果的なのは適度な運動とストレッチ」と口を揃える。日本理学療法士協会の広報担当者は「漫画を読むよりも、1日10分の腰痛ストレッチを続ける方が遥かに効果的です」とコメント。協会公式サイトでは実際に効果が検証されているストレッチ方法を無料公開している。
結局のところ、この「腰痛改善漫画」現象は、プラセボ効果と不適切な読書姿勢の両面から説明できる都市伝説だったようだ。ピッコマ広報部は「当社の漫画に医療効果はありません。ただし心を癒す効果はあるかもしれません」とコメント。正しい姿勢で適度な時間を守って読むよう呼びかけている。腰痛に悩む人々は、漫画に頼るよりも専門医の診察を受けることをお勧めしたい。
毎朝のコーヒータイムにこの記事を書きながら、私も猫アレルギーが治る漫画があればいいのにと思ってしまった。いま隣で寝ている2匹の猫たちのせいで、くしゃみが止まらない。でも彼らの寝顔を見ると、この痛みも報われる気がする。漫画で腰痛が治るという話も、信じたい気持ちはわかる。人間とは不思議なもので、科学的根拠より「希望」を求めてしまう生き物なのだ。さて、今日も推しカップルの新刊をチェックしつつ、社会の闇を暴く記事も書かなきゃ。この二面性こそ、私のエネルギー源である。
