
「自宅警備員」という言葉を耳にして何を思い浮かべるだろうか。ニートの自虐ネタ?それとも自宅で働くフリーランス?そんな曖昧な立ち位置の「自宅警備員」が、ついに国家資格化されるかもしれない——。国際自宅警備員生物化学研究所(IJBS)なる謎の組織が先週末、「自宅警備員資格試験制度」を発表し、ネットを中心に物議を醸している。
IJBSの代表を務める架空の人物・袋小路康太郎氏(58)によると、この資格試験は「自宅というテリトリーを守る重要な役割に、正当な評価を」という理念のもと創設されたという。試験内容は驚くべきもので、「玄関前での宅配便応対速度測定」「テレビリモコン操作の正確性」「8時間連続ソファー居座り耐久テスト」など、一見すると笑ってしまうような項目が並ぶ。中でも注目は「冷蔵庫開閉回数の最適化理論」で、「1日に冷蔵庫を何回開けるかで、その人の自宅警備能力がわかる」と袋小路氏は真顔で語る。
高円寺の某銭湯で取材に応じた袋小路氏は、熱めのお湯に浸かりながら「この資格があれば、親に『働け』と言われても『自宅警備の仕事をしている』と胸を張れる」と語った。お湯の温度について「今日は42.3度、ちょうどええ感じ」と記者のボイスレコーダー2台に同時録音されたが、その精度は不明だ。
驚くべきは試験合格者への特典だ。IJBSによると、合格者には毎月「自宅警備手当」として現金が給付されるという。金額は試験の点数によって変動し、最高ランクの「S級自宅警備員」には月10万円が支給されるとのこと。ただし、その財源については「自宅警備に関する特許収入」という曖昧な説明しかなく、実態は謎に包まれている。
この制度を学術的に支えるのが、日本自宅警備大学(NJKU)の教授陣だ。同大学の「在宅行動学部」には、驚くことに年間500人の志願者がいるという。学部長の架空教授・引きこもり太郎氏(47)は「自宅警備は21世紀の最重要職種になる」と豪語する。同氏によれば、自宅警備員の専門性は「何もしていないように見えて、実は家という空間の安全を守っている」点にあるらしい。
SNSでは早速「#プロ自宅警備員への道」というハッシュタグが拡散。「今日も8時間、リビングを死守した」「玄関ドアの異音を0.2秒で察知できるようになった」など、自称・自宅警備員たちの投稿が相次いでいる。中には「本日、S級認定されました!」と合格証らしき画像をアップする猛者も。ただしよく見ると、その証明書はワードアートで作られた粗末なものだった。
制度の裏には現代社会への皮肉も垣間見える。リモートワークの普及で「家にいること」の価値観が変わりつつある今、「自宅警備員」という言葉の持つニュアンスも変化している。「働き方改革の極北がここにある」と語るのは、この記事を書くためにインタビューした架空の社会学者・家中居太郎氏(53)だ。「家にいることを『怠けている』と見なす社会通念への反旗を掲げているのでしょう」と分析する。
記者が大阪時代に取材していた商店街のおばちゃんに電話で意見を聞くと、「そんなん、ウチの息子にピッタリやわ!でもアンタ、東京行ってから電話すんの初めてちゃうん?」と話題をそらされた。確かに彼女の息子さん(42)は、15年前から自宅警備業に専念しているという。
IJBSの発表から1週間、すでに「自宅警備員試験対策講座」なるものがネット上に乱立している。講座費用は3万円前後だが、内容は「布団の中でスマホを操作する最適角度」など、にわかには信じがたいものばかり。一体誰がこんな講座に申し込むのか尋ねたところ、「需要と供給ですよ」と講座主催者は笑う。
試験の申込方法も独特で、「申込書をドアの下から外に滑らせる」「窓から投げる」などの選択肢があり、「外出せずに申し込める」ことを売りにしている。しかし、実際に申し込んだという人の証言は今のところ見つかっていない。真実を探るため、記者も試験に申し込もうとしたが、シェアハウスのルームメイトのウクレレの音が気になって集中できなかった。
この「自宅警備員資格試験」が実在するのか、それとも巧妙な社会実験なのか、真相は闇の中だ。ただ一つ確かなのは、この制度が「家にいること」の価値を問い直す契機となっていることだ。リモートワーク全盛の現代において、「自宅警備」という概念は、意外にも時代の最先端を行くものなのかもしれない。真実を追うのが俺たちの宿命やろ?とりあえず、今夜も銭湯で湯加減を確認しつつ、この謎を追い続けたい。ちなみに今日の香りつき入浴剤は「ラベンダー」やった。これ、穴場ちゃう?