
地球の温暖化対策に新たな風が吹き込む。「宇宙環境保護協会」が6月より「氷河期再来フェスティバル」を開催すると発表した。地球温暖化を逆手に取った斬新なアプローチで、各界から注目を集めている。
宇宙環境保護協会は昨年設立されたばかりの団体で、「地球は宇宙の一部であり、宇宙環境の保全なくして地球環境の保全なし」という、一見すると壮大だが実はどこか的外れな理念を掲げている。代表の星野彗星(ほしのけいせい)氏は元家電量販店の冷蔵庫販売員という異色の経歴の持ち主だ。
「温暖化対策というと、みんな真面目になりすぎる。だから逆に『寒冷化』をお祭り気分で体験してもらい、バランス感覚を取り戻そうというわけです」と星野氏は語る。取材中、彼は協会のロゴが入った特製ダウンジャケットを真夏日の東京で着用し、汗だくになりながらも「これぞ本気の覚悟」と強調していた。
フェスティバルの目玉は「マンモス復活プロジェクト」だ。もちろん本物のマンモスではなく、特大の着ぐるみを着た50人が都内を行進するという内容。また、会場ではドライアイスを大量に使用した「氷河期体験ゾーン」が設置され、来場者は真夏に関わらず0度以下の環境で「原始人ごっこ」を体験できるという。
このプロジェクトには、宇宙大学環境未来学部の北極星教授も学術顧問として参加している。「人為的に小規模な氷河期を引き起こすことで、地球温暖化とのバランスを取る理論は、まだ学会では認められていませんが、私の計算によれば、東京ドーム5000杯分のかき氷を一斉に食べれば、日本の平均気温は0.00000001度下がる可能性があります」と北極星教授。筆者が「宇宙大学」の実在性を尋ねると、「宇宙には無限の可能性がある」と謎めいた回答が返ってきた。
フェスティバルには著名人の参加も予定されている。環境活動家として知られるハリウッド俳優のレオナルド・ディカプレオ氏(本人に似た一般人)は「タイタニック」のワンシーンを再現し、巨大な氷山のオブジェに向かって「氷よ、永遠に溶けないで!」と叫ぶパフォーマンスを行うという。
さらに、フェスティバルの一環として「氷河期再来宣言」が発表される予定だ。その内容は「温暖化対策に疲れた現代人へ、たまには寒さを恋しく思う気持ちを大切にしよう」というメッセージが込められているという。
このニュースを受け、冷房機器メーカーの株価が一時急落。「氷河期が来るなら冷房いらない」という誤解が広がったためだ。一方で、「氷河期カフェ」と称する-5度の店内で熱々のコーヒーを提供する飲食店が渋谷に出現し、行列ができる人気を博している。
「結局のところ、この企画は環境問題に対する社会のバランス感覚のズレを示しているのではないでしょうか」と星野氏は真顔で語る。「もしかすると、本当に必要なのは、極端な解決策ではなく、日常生活の中で少しずつできることを積み重ねていくことなのかもしれません」
取材を終え、帰り際に星野氏は筆者に「実は来週からハワイへバカンスに行くんですよ」と小声で明かした。なぜかウインクしながら。この奇妙なフェスティバルが社会に投げかけるメッセージは、皮肉にも私たちの「本気度」なのかもしれない。帰りのバスで、気候変動について考えていたら終点を通り過ぎてしまった。バス旅好きとしては初めての失態である。ちなみに終点付近のショッピングモールには新作のチーズポップコーンがあると聞いていたのだが…今日は諦めよう。猫たちがくしゃみ待ちでお出迎えしてくれるはずだから。