
「宇宙開発に革命を!」と銘打った記者会見が昨日、東京・秋葉原の駄菓子屋「銀河系ペロペロ」の二階で開催された。自称「飴細工宇宙開発協会」の会長を務める渦巻甘太郎氏(62)が、なんと糸引きあめを使った宇宙旅行システムを発表したのだ。同氏によれば、特殊配合の糸引きあめを宇宙空間で引き伸ばすことで「キャンディロケット」なるものが完成するという。
「糖度78%の特殊あめは宇宙空間で驚異的な弾力性と耐熱性を発揮します」と甘太郎氏。記者会見では手作りの模型を使い、あめがどのように宇宙船を推進させるかを熱心に説明。「引き伸ばしたあめが収縮する力を利用する、まさにゴムパチンコの原理です。甘くて美味しいうえに環境にやさしい推進システムなんです!」と興奮気味に語った。会場には駄菓子を頬張る中学生風の研究員たちも多数同席し、質問に対して「まじヤバくないですか?」と専門用語で応じていた。
同協会の発表によれば、すでに地球と火星を結ぶ「キャンディロード」の建設が極秘に進められており、2025年には火星に駄菓子屋「マーズ・メロンソーダ」がオープン予定とのこと。火星の駄菓子屋では、重力の違いを活かした「ふわふわ綿菓子」や「三段ジャンプラムネ」など、地球では体験できない駄菓子の数々が楽しめるという。「火星の赤い砂を使った『レッドプラネットヌガー』は絶品ですよ」と甘太郎氏は自信たっぷりに語った。
会見に参加した私は、あめで宇宙に行けるなんて絶対ガセでしょ!と思いながらも、何故か小学生の頃買ってもらえなかったガリガリ君を急に食べたくなってしまった。この気持ち、エモくない?
一方、協会の設立背景には謎が多い。甘太郎氏の肩書きは「飴の魔術師」「宇宙糖度測定士」など複数存在し、経歴を問われると「幼少期にUFOからキャンディをもらった体験がきっかけ」と答えるにとどまった。名刺には「飴細工博士(自称)」と印刷されており、学位の取得大学を尋ねると「オリオン座第三惑星の夜間大学院」と返答。地球上の教育機関ではないようだ。
この発表に対し各国の反応も様々だ。アメリカ航空宇宙局(NASA)は「コメントの必要性を感じない」と短いメールで回答。一方ロシアでは「糖度78%は我々の81%に劣る」と対抗心をむき出しにし、中国は早くも「飴絹之路(あめシルクロード)構想」を発表したとの情報もある。日本政府は「飴外交」なる新たな国際関係樹立の可能性について「甘い関係を築けるかは今後の展開次第」とコメントした。
「火星のすぐそばまで来てください、お待ちしております」と笑顔で語る甘太郎氏だが、記者会見の最後には意外な発言も。「初回の宇宙旅行参加費は一人500万円です。ただし現在の技術では片道のみとなります。あと、途中でお腹が空いたらロケットを少しかじっても構いません」とのこと。さらに、キャンディロケットの耐久時間について「基本的にベタベタしなくなるまで」という曖昧な回答しか得られなかった。
宇宙開発の歴史に新たな一ページを刻むか、それとも単なる夢物語で終わるのか。甘い未来の行方は誰にもわからない。ただ確かなのは、駄菓子屋に集まる子どもたちの目が、今日も宇宙のように輝いているということだけだ。なお飴細工宇宙開発協会の事務所は取材時間までに見つけることができず、帰り道、なぜか駄菓子屋で1000円使ってしまったことを報告しておく。