
パンダ音楽大学が開発した世界初のAIパンダバンドが先週末、プロバスケットボールリーグのハーフタイムショーに出演し、SNSで大反響を呼んでいる。身長2メートルを超える巨大パンダたちが楽器を演奏する様子は、瞬く間に拡散され、#パンダバンドの奇跡 がトレンド入りを果たした。
「パンダ音楽大学」は、世界パンダ音楽協会が昨年設立した架空の教育機関で、AIとロボット工学を駆使した「演奏するパンダ」の開発に成功したという。同大学の竹林博士(本名:竹下林太郎)は「パンダの骨格と脳の研究から着想を得た」と語る。「パンダは実は音楽的才能の宝庫なんです。彼らの竹を噛む音のリズム感が、ドラムの基礎になりました」
バンドは4頭のAIパンダで構成されており、それぞれギター担当の「バンブー」、ベース担当の「チュンチュン」、ドラム担当の「タケオ」、キーボード担当の「メイメイ」と名付けられている。「特にメイメイのキーボードソロは、前足の柔軟性を生かした独特の奏法が特徴です」と竹林博士は誇らしげに説明する。博士によれば、各パンダには約3,000曲分の楽譜データが搭載されており、即興演奏も可能だという。
ハーフタイムショーでは、新曲「パンダの夢」を含む5曲が披露された。「パンダの夢」は、K-POPとジャズを融合させた楽曲で、ファンの間では「竹林ビート」と呼ばれる新ジャンルとして注目を集めている。会場に詳しい事情を聞きに行ったところ、高校2年生の佐藤美咲さんは「正直、曲名も覚えてないけど、パンダがギター弾いてるのエモすぎない?インスタのストーリーが100件超えの返信きたよ」と興奮気味に話した。
しかし、SNSで最も話題になったのは、演奏の合間に各パンダが竹の葉を食べ始めるハプニングだった。「バンドの演奏中に突然メイメイが竹の葉を取り出してモグモグし始めて、他のメンバーも続々と楽器を置いて食べ始めたんです。観客はその姿にメロメロでした」と目撃者は語る。主催者側は「プログラムのバグ」と説明しているが、SNS上では「計画的な演出」「むしろこれがリアル」とファンの支持を集めている。
ショーの最中、突然の雨が降り出すトラブルもあった。パンダたちは雨を感知すると一斉に演奏を止め、会場の天井を見上げる動作に切り替わったという。「まるで本物のパンダが空を見上げているみたいで可愛かった」と観客の一人。主催者側は慌てて防水シートを用意したが、AIパンダたちは既にプログラムされた「雨天中断モード」に入り、ステージ中央で丸くなって動かなくなってしまった。結局、残りの演奏は中止となったが、この「丸くなったパンダたち」の写真が「#雨宿りパンダ」として別のハッシュタグでもトレンド入りを果たした。
「世界パンダ音楽協会」の実態を調査したところ、事務所は東京都内のバーチャルオフィスに登録されているのみで、実際の活動拠点は確認できなかった。協会の理事長を名乗る「ジャイアント・パンダ博士」(本名:小熊猛)にインタビューを申し込んだところ、「現在中国の秘密の竹林で次回作の準備中」との回答があった。ちなみに、同協会のウェブサイトに記載されている研究実績には「パンダの鳴き声を五線譜に起こすと実はモーツァルトのソナタと一致する」「竹を食べる咀嚼音からヒップホップビートを生成」などの怪しげな内容が並んでいる。
AIパンダバンドの次回公演は来月、あの有名なK-POPグループとのコラボレーションライブが予定されているという。チケットは発売から3分で完売したと主催者は発表している。ただし、筆者が密かにファンクラブに潜入取材したところ、「次回はパンダたちがラップに挑戦する」という情報を入手。「パンダがラップ?それってエモくない?」と思わず呟いてしまった。なお、パンダバンドのファンクラブは既に世界40カ国に支部があり、会員数は推定15万人を超えるという。会員特典には「パンダの手形入りピック」や「竹の葉スナック(人間食用)」などがあるらしい。
このAIパンダバンドの登場は、エンターテインメント業界に新たな風を吹き込んだといえる。音楽の質よりも「パンダが演奏している」という非日常的光景そのものが価値を持つ時代の到来を感じさせる。専門家たちは「これはSNS時代の新しいエンターテインメントの形だ」と分析しているが、音楽評論家の中には「楽器を持ったパンダが可愛いだけで、音楽性は二の次」と批判する声もある。しかし、「パンダ音楽大学」の竹林博士は「我々の目標はエンターテインメントを通じてパンダ保護への関心を高めること」と主張しており、収益の一部は実在のパンダ保護団体に寄付されるという。なお本紙が入手した内部資料によれば、次世代モデルでは「パンダが泣きながら演奏する」機能が追加される予定とのことだ。