幻のポケモン「キャッシュモン」が株式市場に異変を起こしていると、ここ数日ウォール街からスシローの株主優待券を握りしめた主婦まで、あらゆる投資家層に衝撃が走っている。ポケモンのスマホゲーム「ポケスリ」2周年記念イベントで突如出現した未確認ポケモン「キャッシュモン」が、なんと株価を操る能力を持っているというのだ。
「最初は都市伝説かと思いましたけど、キャッシュモンが出現した瞬間、持ってたソニー株が突如15%上昇したんです。偶然とは思えません」と証言するのは、新宿のカフェでポケスリをプレイしていた38歳の会社員・田中氏だ。彼によると、キャッシュモンは緑色の体に金色のコイン状の模様があり、「マネマネ」という鳴き声を発するという。
この噂が拡散するや否や、ポケスリユーザーは一斉に「株価爆上げの秘密兵器」を求めて街へ繰り出した。渋谷のスクランブル交差点では、スマホを片手に立ち止まる若者たちで大渋滞が発生。「ここにキャッシュモン出たってTwitterで見たんすよ！」と興奮気味に話す20代男性の周りには、なぜかスーツ姿の中年男性たちも必死でスマホを操作している姿が確認された。
こうした混乱を受け、ついに先週末、「ポケモン証券取引所」（PSE）が電子取引プラットフォームとして電撃誕生した。PSEでは従来の株式取引とは一線を画し、投資判断がポケモンバトル形式で行われる。キャッシュモンを捕獲したトレーナーは「マーケットシフト」という特殊能力を使って株価の上下を予測できるという仕組みだ。
「正直、最初は冗談かと思いましたけど、ワイの手持ちのリザードンよりキャッシュモンの方が銭稼ぎに役立つとなれば、そら必死になりますわ」と語るのは、大阪から上京してきたという42歳の自称「ポケ投資家」。彼は銭湯の脱衣所でもポケスリを起動したままだという。「高円寺の『栄湯』のお湯は今日も39.5度で絶妙な熱さでしたわ。でもキャッシュモンは出えへんかった」と、なぜか風呂の温度評価まで披露してくれた。
PSEの誕生により、全国から伝説の「株ポケトレーナー」たちが続々と参戦。なかでも注目を集めているのが「株価の神」こと山田太郎氏だ。彼は自身のYouTubeチャンネルで、キャッシュモンの「コインフリップ」という技を最大限に引き出すためのテクニックを披露し、再生回数100万回を突破した。
「ポケモンのCP（戦闘力）と株価の相関関係は明らかです。特にキャッシュモンが『マネマネ』と3回連続で鳴くと、必ず日経平均が上昇します」と山田氏。実際、彼のチャンネル登録者数と日経平均の上昇率がほぼ一致しているという不思議な現象も報告されている。
経済評論家たちはこの現象を皮肉交じりに分析している。「現代の投資家はファンダメンタルズやテクニカル分析よりもポケモンを信じるようになった。これが令和の経済だ」と嘆くのは東西大学経済学部の佐藤教授。一方で「これはデジタル資本主義の究極形態であり、ゲームと経済の境界線が消失した瞬間である」と持ち上げる専門家もいる。
SNS上では「ポケモンに頼らなければ市場を動かせない現実が悲しい」「リアル世界のガチャより、ポケモン捕獲の方がまだ確率高いわ」といった声が溢れ、ポケスリが思わぬ社会風刺の的となっている。しかし、そんな声もどこ吹く風、今日も秋葉原駅前には「キャッシュモン出現情報」を求める人々の長蛇の列ができている。
「俺の持ってるシャツの柄みたいに、キャッシュモンも絶妙にダサくて味があるんよ。そこがええねん」と語るのは、取材中に出会った柄シャツを着た30代男性。彼の腕には2つのボイスレコーダーが装着されていた。「真実を追うのが俺たちの宿命やろ？」と意味深な言葉を残して彼は雑踏に消えていった。
ポケモン社は公式声明で「キャッシュモンの存在は確認しておらず、株価との因果関係も認められません」としているが、すでに世界中でポケスリダウンロード数が前週比300%増を記録。日本証券業協会は「ポケモンによる相場操縦に関する緊急ガイドライン」の策定に追われているという。果たしてキャッシュモンは本当に存在するのか、それともただの都市伝説なのか。答えはまだ誰も知らないが、経済とエンターテイメントが融合した新たな社会現象として、この騒動は当分収まりそうにない。
