
台風を好きな場所に呼び寄せ、まるでペットのように操ることができるという画期的なスマートフォンアプリ「台風どこナビゲーション」が先週リリースされ、わずか数日で10万ダウンロードを突破した。このアプリを使えば、ユーザーは直感的な操作で台風の進路を変更したり、風速を調整したりすることが可能だという。
「友達の結婚式当日に小さな台風を呼んで延期させました。実は準備が全然間に合ってなかったので助かりました」と語るのは、東京都在住の佐藤さん(28)。また、静岡県の高校生は「テスト前日に台風を呼んで休校にしてもらいました。おかげで一夜漬けの時間が確保できました」と喜びを隠さない。
開発者は謎の団体「気象まんが協会」。同協会の代表を務める南雲風太郎氏(自称気象予報士)によると、「気象衛星からのデータを独自のAIで解析し、台風の気圧の中心に微弱な電磁波を送ることで進路をコントロールできる」との説明だが、気象学の専門家からは「そんな技術はあり得ない」との指摘が相次いでいる。
それでも、アプリの人気は衰えを見せず、ユーザーの間では「台風パーティ」と呼ばれる新たな社交イベントが流行。参加者たちは郊外の広場に集まり、スマートフォンを空に向けながら「うちの台風が一番かわいい」と競い合う光景が見られるという。先週末には埼玉県の某河川敷で約50人が集まり、直径3キロメートルの小型台風を呼び寄せて「台風BBQ」を開催。強風でグリルが飛ばされる事態となったが、参加者は「臨場感があって最高だった」と興奮気味に語った。
気象庁は緊急記者会見を開き、「台風の進路を人為的に変更することは現在の科学技術では不可能。アプリは単なるエンターテイメントであり、実際の気象に影響を与えるものではない」と強調。同時に「台風接近時の危険行動は控えるよう」呼びかけている。
一方、アプリ内では「プレミアムコース」として月額3,800円で「スーパー台風パック」も販売されており、最大風速70メートルの大型台風を呼び寄せられるという謳い文句に批判の声も。気象まんが協会の南雲氏は「ユーザーの責任で利用してほしい。台風保険は別途加入を」と話している。
専門家は「このアプリが実際に台風をコントロールできているわけではなく、単に気象予報データを表示しているだけ」と指摘するが、ユーザーの中には「私が操作した直後に台風が向きを変えた」と確信する人も少なくない。今後の台風シーズンに向け、気象庁は正確な情報発信と注意喚起を強化する方針だ。
なお、筆者も取材のため試しにアプリをダウンロードしてみたが、操作していたところ愛猫2匹が突然の気圧変化を感じたのか、くしゃみの嵐。部屋中が毛だらけになったため、泣く泣くアンインストールした。台風をペットにするより、くしゃみ台風に悩まされる猫との共存の方が、個人的には難題かもしれない。(みつき)