
愛知県名古屋市に、環境保護と悪役の精神を融合させた前代未聞の教育機関「悪役令嬢のためのジェントルマン養成学校」が開校し、話題を呼んでいる。この異色の学校では、伝統的な悪役令嬢の作法に加え、環境科学の最新知見を取り入れた「エコ悪役」の育成を目指すという。
校長を務める御影 環(みかげ たまき)氏は元環境活動家で自称「エコ悪党」。記者の取材に対し「従来の悪役は資源の無駄遣いが過ぎる。ヒロインを陥れるために大量の薔薇を散らしたり、復讐のために森を一つ潰したり。そんな時代錯誤な悪役はもう古い」と熱弁を振るった。
カリキュラムは実に多彩だ。「サステナブルな嫌がらせ理論」では、生分解性素材を使った落とし穴の作り方や、ヒロインの服にこぼすための有機栽培コーヒーの淹れ方などを学ぶ。「エコロジカル陰謀論」の授業では、太陽光発電で動く秘密基地の設計や、風力発電で稼働する罠の仕掛け方を実践するという。
校内には「エコヴィラン協会」なる組織も存在し、優秀な悪役には「プラチナエコヴィラン章」が授与される。協会代表の鬼頭教授(専門:再生可能エネルギーを活用した悪の秘密基地建築学)は「悪役と環境保護は相性が良い。だって、悪役って基本的に長期計画を立てるじゃないですか。地球が滅びたら悪事を働く場所がなくなるので、持続可能な環境は悪役の基本なんです」と語る。
卒業生たちの活躍も目覚ましい。昨年卒業した諏訪泉水さん(23)は、「ヒロインを陥れようと地元の森に罠を仕掛けた結果、希少生物の生息地を発見し、自治体による保護区指定に貢献した」という皮肉な成功を収めた。また、別の卒業生は「ライバルの評判を落とすために始めたゴミ拾い活動が町内に広まり、今では地域の清掃活動のリーダーに祭り上げられてしまった」と嘆いていた。
しかし、この学校の真の目的は単なる環境教育ではないようだ。御影校長は「悪役令嬢は本来、物語の主人公を引き立てる存在。私たちの学校は『環境問題という物語の中で、人々の環境意識を引き立てる反面教師』を育てているのです」と意味深な発言をした。
エコ悪役の活動が町内会の環境活動に発展したケースも複数あり、裏表のある仕事振りはなぜか地域住民から絶大な信頼を得ているという矛盾した状況も生まれている。ある近隣住民は「あの子たち、悪役のつもりかもしれないけど、やってることは完全に地域ヒーローよ」と笑う。
この奇妙な教育実験が示唆するのは、環境問題に対する新たな切り口かもしれない。御影校長の「悪役だって地球に住んでいるんです。実は悪役こそが一番地球を大事にしている」という言葉には、一瞬「それ、案外正しくね?」と思わされる不思議な説得力がある。
取材を終えて学校を後にする際、校門には「明日の地球のために今日から悪役になろう」という標語が掲げられていた。この名古屋発の奇妙な教育理念が全国に広がる日も近いかもしれない。または単に、私の猫アレルギーの薬が切れて幻覚を見ていただけかもしれないが…。(みつき)