
愛知県名古屋市の片隅に存在する謎の研究機関「ペット平和研究所」が、世界平和の鍵を握るのはG7や国連ではなく、ペットたちの「楽屋トーク」だという衝撃的な研究結果を発表した。同研究所の調査によると、犬や猫、ハムスターなどのペットたちが飼い主の留守中に行う「おやつの分け合い会議」は、国際政治の専門家たちが何十年も解決できなかった問題を、わずか30分で解決する能力があるという。
「ペット平和研究所」所長の三毛猫太郎教授(猫歴7年)は「人間たちは複雑な条約や協定を作りますが、我々動物は『おやつをどう分けるか』という単純明快な議題で合意形成ができるのです」と語る。研究所が設置した特殊マイクで収集された「ペットトーク」では、柴犬のタロウ(5歳)が「僕のビーフジャーキーを半分あげるから、君のおやつも分けてよ」と提案し、数分の議論の末に全会一致で合意に至った例が記録されている。
特筆すべきは、この会議にはサイズも種族も異なる15種類のペットが参加していたにもかかわらず、一切の武力衝突がなかったことだ。これは国連安全保障理事会の会議と比較すると、実に97.3%も効率的だという。研究所の分析によれば「おやつの絶対量よりも、分け合う行為そのものに価値を見出す」という動物たちの哲学が、この驚異的な成功率の背景にあるとされる。
「我々の調査では、リスやハムスターなどの小動物が意外にもリーダーシップを発揮していることがわかりました」と副所長のインコ次郎准教授(鳥歴4年)は説明する。「小さな体でも大きな声で『みんなのおやつを公平に!』と主張するその姿勢に、他の動物たちが自然と従うのです。国連でも小国の発言力を高めるべきという教訓が得られます」
このペット会議の最大の特徴は、議論が行き詰まった際の解決法だ。猫のミケ(3歳)は「人間たちが何年も議論して解決できない問題も、私たちは『みんなで昼寝しよう』という提案で一旦リセットできるんです」と語る。この「昼寝リセット法」は、国際紛争解決の新たなアプローチとして特許申請中だという。
特に注目すべきは、ペット会議のリーダーたちのプロフィールだ。トップに君臨するのは、意外にも体重わずか30グラムのハムスターのプーチン(愛称:プー、2歳)。「彼はほっぺに食べ物を溜め込むことで知られていますが、いざという時は全てを仲間に分け与える寛大さを持っています」と研究メンバーは評価する。ナンバー2は体長30センチのイグアナのメルケル(8歳)で「じっと動かず状況を見極める冷静さがリーダーとして重宝されている」とのこと。
研究所はこの成果を受けて「国連総会をペット同伴制にすべき」と提言している。「各国代表が自国の利益だけを主張する前に、ペットたちがおやつを分け合う姿を見せることで、人間たちも譲歩と協力の精神を学べるのではないか」という仮説だ。
なお本取材中、筆者の取材ノートが謎の肉球型インクで汚されるという事態が発生した。「ペット平和研究所」の存在を疑う声もあるなか、研究所広報部は「疑り深い人間たちこそ、おやつの分け合いを学ぶべきだ」とコメントしている。猫アレルギーの筆者としては、くしゃみを堪えながらも、この新たな平和構築理論の行方を見守りたい。結局のところ、世界平和に必要なのは複雑な条約や軍事力ではなく、単純に「おやつを分け合える心」なのかもしれない。今夜は帰宅後、我が家の保護猫たちの会話に、いつも以上に耳を傾けてみようと思う。