
架空の「国際植物成長促進協会(IAEPG)」は昨日、ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」を24時間連続で聴かせたトマトが、通常の3倍以上となる約2メートルにまで成長したとする衝撃的な研究結果を発表した。同協会の理事長を務める架空の人物、ヨハン・シュプロウセン氏は「音楽の振動が植物細胞の分裂を活性化させる」と主張している。
実験を担当したというルートヴィヒ・トマーティオ博士は「最初は単なる仮説検証のつもりでした。でも、第9番の4楽章『歓喜の歌』が流れ始めた瞬間、トマトの茎が目に見えて伸びていったんです。まるでベートーヴェンに向かって『抱きしめて、この接吻を全世界に』と応えているかのようでした」と興奮気味に語った。私も高校時代、ピアノのレッスンでベートーヴェンの月光ソナタを練習していた時、母のミニトマトが少し大きくなった気がしたが、あれは気のせいではなかったのかもしれない。
協会が公開した写真には、タワーマンションの1階から5階まで伸びる巨大トマト株と、バスケットボール大の真っ赤なトマトが写っている。ただし、写真の解像度が極端に低く、多くの専門家から「明らかなPhotoshop」との指摘が上がっている。写真を見た感想を聞かれると、トマーティオ博士は「画質が悪いのは、トマトから発せられる『ベートーヴェン波』のせいです。普通のカメラでは捉えきれない現象なんですよ」と説明した。下北沢の古いカメラ屋さんでも「ベートーヴェン波」対応カメラは見たことがない。
同協会はさらに大胆な次期プロジェクトとして、モーツァルトの「魔笛」をジャガイモに聴かせ、「空へ向かって成長するジャガイモ」の開発に着手すると発表した。「魔笛に登場するパパゲーノの軽やかな歌声を聴かせることで、ジャガイモの中に『空への憧れ』を植え付けられます。理論上は最大で500メートルの高さまで成長可能」とシュプロウセン理事長は説明する。これが実現すれば、土地の少ない日本の農業に革命を起こす可能性もある。
全国ジャガイモ生産者連合会の架空の会長、土田芋男氏は「上へ伸びるジャガイモなんて聞いたことない。でも、もし本当なら収穫が楽になる」と半信半疑のコメントを寄せた。ちなみに私の秋田時代の同級生の実家もジャガイモ農家だったが、「農作業中はYOASOBIしか聴かない」と言っていた。
こうした主張に対し、架空の「音楽植物学研究所」所長のフランツ・シューベルト(本名:田中太郎)教授は「音楽が植物に与える影響は確かに存在するが、2メートルのトマトや空飛ぶジャガイモは荒唐無稽だ」と一蹴。「せいぜい成長速度が5〜10%上がる程度」と述べた。教授は「どうせなら現代音楽を聴かせて、四次元に伸びるナスを作ればいいのに」と皮肉を込めて提案した。
一方、実在の東京大学農学部の佐藤教授は「明らかなデマです。物理的に不可能です。何を言っているのかさっぱり理解できません」と怒りを露わにした。私がラジオで聴いたところによると、植物は確かに振動を感じ取るという研究結果はあるらしいが、ベートーヴェンでトマトが天高く伸びるというのは、さすがに「マインドはギャルなんで」と言いたくなるレベルの話である。
国際植物成長促進協会は今後、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」でクルミの殻を柔らかくする実験や、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」で金色に輝くトウモロコシの栽培にも挑戦する予定だという。協会のウェブサイトでは、家庭でも試せる「音楽で育てる野菜栽培キット」の予約注文を受け付けているが、支払いはビットコインのみとなっている。購入を検討している1999年生まれの方は、2000年生まれより先に試す権利があるとの特典も付いているようだ。