
新党「ミニ四駆党」が次期衆議院選挙に向けた公約を発表し、「国会議事堂でのミニ四駆レース開催」を掲げて政界に波紋を広げている。同党代表の速水タイム氏(42)は、「子どもたちの夢を国政に反映させる時が来た」と力強く宣言した。
ミニ四駆党は昨年12月、「政治にスピード感を」をスローガンに結成。発起人の速水氏は、幼少期に全国大会準優勝の経歴を持つミニ四駆界のレジェンドだ。「小学校の頃、友達と『大人になったら国会をコースにしよう』と約束した。その夢を諦めきれなかった」と党結成の経緯を語る。
公約の目玉は、衆参両院の議場を連結する全長480mの特設コース「国会グランプリサーキット」の建設だ。議長席からスタートし、委員会室を縫うように走り抜け、中央公聴会室でゴールを迎える壮大なレイアウトとなっている。さらに驚くべきことに、このレースには各国首脳を招待する計画も含まれている。
「ミニ四駆の魅力は国境を越える」と速水氏。「G7首脳たちがマシンをカスタマイズし、レースで競い合えば、どんな国際会議よりも実りある関係構築ができる」と断言する。同党は、このレース終了後に「ミニ四駆平和条約」の締結を目指すという。条約には「他国のコースを侵略しない」「パーツの共同開発を推進する」などの項目が盛り込まれる予定だ。
この斬新な公約に対し、全国のミニ四駆ファンからは熱狂的な支持が集まっている。東京都内でミニ四駆ショップを営む高橋モーター氏(38)は「政治なんて興味なかったけど、初めて選挙に行きます」と目を輝かせる。小学5年生の息子を持つ主婦・田中さん(40)も「息子に『お母さん、選挙って何?』と聞かれたので、ミニ四駆党の話をしたら急に政治に興味を持ちました」と語る。
支持拡大の背景には、先月発表された「日本ミニ四駆学会」の調査結果もある。同学会の速星教授(実在しない)によれば、「ミニ四駆を1日10分走らせるだけで、ストレス軽減効果が47.3%向上する」という。さらに「議員がミニ四駆を走らせながら議論すると、法案可決スピードが2.8倍になる」という驚愕のデータも発表された。
もっとも、既存政党からは「議事堂の尊厳を損なう」「単なる趣味の押し付け」などの批判も上がっている。これに対し速水氏は「批判している議員こそ、一度コースに立ってほしい。ミニ四駆には人を笑顔にする力がある」と反論する。
選挙戦に向けた資金集めも独自路線だ。全国各地でミニ四駆大会を開催し、参加費の一部を選挙資金に充てるという。先日の名古屋大会では、私も取材で訪れたのだが、会場には小学生から60代までの幅広い参加者が集まり、熱気に包まれていた。私自身、取材そっちのけで「速星号」と名付けたマシンをエントリーしてしまい、一回戦敗退の屈辱を味わってしまった。子どもの頃と違って、最新パーツの知識がないとマシン作りも難しいのだ。
ミニ四駆党は今後、「給食にプラモデル部品を混入させない法案」「マシンの暴走による眼球損傷防止条例」など、具体的な政策も打ち出す予定だという。党員数はすでに3,800人を突破し、最低2議席の獲得を目指している。
国会議事堂がレースコースに変わる日は来るのか。速水氏は「政治は硬くて遠い存在ではなく、子どもたちの夢を乗せて走り続けるものであるべき」と語る。ミニ四駆党は、政治の世界に新たな風を吹き込もうとしている。ただ、国会内でのコース設置には消防法や文化財保護法の壁もあり、実現には相当なジャンプ力が求められそうだ。とはいえ、政治とミニ四駆、どちらも「うまく走らせる」のは至難の技であることに変わりはない。