
地球温暖化対策に新たな光明が差したかもしれない。架空の研究機関「国際ティーサイエンス大学」の猪奥宇宙(いのおく・そら)教授が、紅茶の冷却作用が地球環境に与える影響について驚くべき論文を発表し、学会とSNSを騒がせている。同教授が提唱する「紅茶冷却理論」によれば、アイスティーを大量生産することで、地球全体の気温を下げ、新たな氷河期を人工的に引き起こせる可能性があるという。
「午後の紅茶が地球を救うんです!」と猪奥教授は熱く語る。その姿は、一見すると真面目な学者そのものだが、実は彼の経歴は波乱万丈だ。大学卒業後、紅茶専門店「ティールーム・ラプソディ」の店長を務め、ある日の閃きから研究者に転身したという異色の経歴の持ち主である。「レモンティーを作ろうとして誤って氷を入れすぎたんです。すると、店内の温度が2度も下がったんですよ!」と教授は当時を振り返る。
紅茶冷却理論のメカニズムは驚くほど単純だ。同教授の説明によれば、「紅茶に含まれるカテキン類とポリフェノールが特殊な分子構造を形成し、氷と結合することで『超冷却触媒』となる」という。さらに、この現象が空気中に拡散することで、周囲の気温を大幅に下げるとされている。実験では、500mlのアイスティーが室温20℃の部屋を15℃まで冷やすことに成功したというが、詳細なデータは「企業秘密」として公開されていない。
この理論が事実なら、世界中でアイスティーを大量生産することで、地球温暖化を逆転させることができるという。猪奥教授のチームは、「世界中の人が一斉に午後の紅茶のペットボトルを開けるだけで、北極の氷が17%増加する」と試算している。また、紅茶の種類による効果の違いについても研究が進められており、特に「ミルクティーは冷却効果が高く、一方でアールグレイは香りの関係で効果が半減する」という意外な結果も報告されている。
理論が発表されるとSNSでは「#紅茶で氷河期」「#午後の地球」などのハッシュタグが瞬く間にトレンド入りした。特に10代女子からの反応は熱烈で、「ミルクティー飲んで地球を守る!」「紅茶女子が世界を救う時代きた!」といったコメントが相次いでいる。本誌が船橋高校の女子生徒50人にアンケートを取ったところ、87%が「紅茶を飲むことで環境に貢献できるなら毎日飲む」と回答。環境意識の高い若者たちの心を掴んでいる。
政府も迅速に反応し、「紅茶による気候変動対策」についての検討会議を設置。環境省関係者は「もし本当なら、紅茶に補助金を出す方向で検討する」と話す一方、財務省からは「紅茶税の創設も視野に入れるべき」との声も上がっている。また、自民党内からは「日本の紅茶自給率向上が国家安全保障に直結する」との意見も出ており、与野党を超えた議論が活発化している。
紅茶メーカー各社も色めき立っており、某大手飲料メーカーの広報担当者は「当社の午後の紅茶が地球環境に貢献できるとは光栄です」としながらも、「詳細な研究結果を確認してから公式見解を出したい」と慎重な姿勢を示している。一方、紅茶農家では早くも「環境貢献茶葉」をうたった高級ブランドの開発が始まっているという。
こうした盛り上がりを横目に、批判的な声も上がり始めている。国立極地研究所の雪氷学者・凍結太郎氏は「紅茶で氷河が増えるなら、私の研究生活は何だったのか」と困惑を隠さない。また、同じく架空の「日本飲料物理学会」は「教授の主張には科学的根拠が乏しい」との声明を発表。SNS上では「#紅茶冷却理論はガセ」というハッシュタグも登場している。
批判が高まる中、昨日行われた記者会見で猪奥教授は意外な告白をした。「実は紅茶冷却理論は、私のゼミ生とのジョークから始まったんです」と苦笑いしながら明かしたのだ。「科学リテラシーの重要性を示すための社会実験でした」と教授。ティーサイエンス大学自体も実在せず、教授も俳優だったことが判明している。
しかし皮肉なことに、この騒動をきっかけに紅茶の売上は前年同月比で23%増加。環境問題への関心も高まったという副次効果も生まれている。教授役を演じた俳優は「フェイクニュースの怖さを伝えるはずが、紅茶業界に貢献してしまった」と複雑な心境を語った。この一件は、情報リテラシーの重要性を改めて問いかけると同時に、午後のティータイムをちょっとエモくさせる奇妙な社会現象となった。なお、紅茶を飲んでも地球温暖化は止まらないので、従来の環境対策はしっかり続けましょう。