
日本大学第三高等学校の音楽部が、全国カレー愛好家が集う祭典「カレー甲子園」に出場することが決定し、カレー業界に激震が走っている。同部が出場するのは、なんと調理や試食の部門ではなく、「音楽によるカレー香り再現」という前代未聞の新技術を用いたパフォーマンス部門だ。
この驚くべき技術は、東京・西荻窪に本部を構える「日本音楽香り研究所」が開発したものだという。同研究所の山田香織所長(52)は「特定の周波数と音階の組み合わせにより、人間の嗅覚野を直接刺激することに成功しました」と胸を張る。特にカレー特有のスパイス香を再現するために、クラリネットの低音域とバイオリンの高音を組み合わせた「カレー・コンチェルト」なる楽曲を新たに作曲したという。
先日行われた校内発表会では、音楽部の演奏が始まるとともに会場に芳醇なカレーの香りが漂い始め、来場者から「本当にカレーが目の前にあるようだ」「お腹が鳴ってしまった」といった驚きの声が上がった。特に顕著だったのは、教師陣の反応だ。「採点中の試験用紙をカレーの匂いと勘違いして、噛み始めた先生が3人いました」と音楽部顧問の佐藤教諭は笑いながら教えてくれた。
興味深いことに、この革命的技術を操る音楽部員の多くが実はカレー嫌いだという皮肉な事実も判明した。部長の高橋さん(17)は「私はターメリックのにおいに拒否反応があるんです。でも演奏中は不思議と平気なんですよ」と首をかしげる。副部長の鈴木さん(16)も「カレー自体は大嫌いですが、この演奏をきっかけに少しずつ食べられるようになってきました」と意外な効果を語った。
カレー甲子園実行委員長の辛島一味氏(48)は「最初は冗談かと思いましたが、実際に聴いて‐いや、嗅いで‐驚きました。これはカレー文化の革命です」と興奮気味に語る。同大会では通常、最高のカレーを作ったシェフや店舗に金のスパイスラックが授与されるが、今回は特別に「音で作る最高のカレー賞」が新設されるという。
この技術の応用可能性について、匿名を希望する大手食品メーカーの研究員は「将来的には、このテクノロジーを使って『音楽を聴くだけでお腹がいっぱいになる』ダイエット法の開発も視野に入れています」と語った。また、有名レストランチェーンでは「BGMでカレーの香りを出せば、実際のカレーの香辛料を10%削減できる」という試算も出ているという。
そんな中、意外な批判も浮上している。全国学食管理協会の渋谷会長は「学生が音楽を聴きながら幻のカレーの香りを楽しみ、実際の学食利用が減少している事例が報告されています」と危機感を表明。JR各社も「電車内で勝手に演奏され、乗客が突如カレーを求めて駅で降りてしまうトラブルが相次いでいる」と注意を呼びかけている。
日大三高音楽部の斬新な挑戦は、カレー文化と音楽の境界を越えた新たな地平を切り開きつつある。今後は焼肉の「ジュー」という音とにおいの再現や、ラーメンのスープの香りを交響曲で表現する計画もあるという。私たちの食文化と音楽の関係は、これからどう変わっていくのだろうか。個人的には、朝のコーヒータイムを「モーニングコーヒー交響曲」で代用できれば、猫のくしゃみも減って一石二鳥なのだが。