
国会議事堂の裏手に、国会議員専用の「スナック議場」が昨日こっそりオープンした。通常の国会では硬直した議論や居眠り議員がニュースになりがちだが、この「スナック議場」では法案審議がカラオケ形式で行われるという画期的な取り組みだ。議場マスターを務める中堅議員によると「政治をもっと身近に感じてほしい」という狙いがあるという。
「スナック議場」の内装は昭和レトロを徹底的に再現。赤いビロードのソファ、キラキラ光るミラーボール、そして首相や過去の著名政治家をモチーフにした演歌の額縁が壁に飾られている。カウンター席には「予算委員会席」、テーブル席には「本会議席」というプレートが掲げられ、議事進行はママ役の事務方が行う。飲み物メニューには「憲法改正サワー」「補正予算ハイボール」など政治用語を冠したカクテルが並ぶ。
最も注目すべきは、法案審議がカラオケ形式で行われる点だ。法案提出者は自分の政策をアピールする曲を選び、歌唱力と表現力で議員たちの心を掴む必要がある。先日行われた「教育改革法案」の審議では、文部科学委員会の委員長が平井堅の「瞳をとじて」を熱唱。「未来を担う子どもたちのために目を閉じて想像してみてほしい」と歌詞を政策に絡めた解釈で会場を沸かせた。一方、反対派議員は布袋寅泰の「バンビーナ」で対抗し、「現場の声を無視した改革だ」と批判したという。
興味深いのは、歌唱力が政治力に直結する新たな政治文化が生まれつつある点だ。ある与党幹部は「音程を外すと法案否決のリスクが高まる」と明かし、野党議員は「歌が下手な大臣は責任取って辞任すべき」と詰め寄る場面も。実際、先週の補正予算審議では、財務大臣がB’zの「ultra soul」で音程を大幅に外したため、予算案が一時凍結される事態となった。
この前代未聞の取り組みを監修しているのは「日本スナック議会協会」という団体。代表の山下勝利氏(68)は「政治家とスナックは実は相性がいい。選挙区でもスナックは重要な情報収集の場だった」と語る。同協会は全国の有名ママを顧問に迎え、「聞き上手で議論を円滑に進める技術」を議員たちに指導しているという。
「スナック議場」の様子はSNSで拡散され、議員のカラオケスキルがバズる現象も起きている。ある若手議員の「残酷な天使のテーゼ」パフォーマンスは100万再生を突破。「エヴァよりも難しい国家予算について語ります」というキャプションが話題となった。さらに驚くべきは、一部の人気アーティストが「政策提言ソング」を提供し始めていることだ。有名ロックバンドのボーカルは「政治家に歌わせるために作曲するのは新しい挑戦」と意欲を見せている。
もちろん、伝統を重んじる一部議員からは「国会の品格を損なう」「法律は歌で決めるものではない」と反発の声も。80代のベテラン議員は「カラオケなんてやったことがない。これでは不公平だ」と憤慨する。これに対し山下氏は「国民との距離を縮めるには、政治家も自分の殻を破る必要がある」と反論。さらに協会は「スナック議場」を全国の地方議会にも展開する計画を明らかにしている。
国民の反応は賛否両論。「やっと政治に興味が持てた」「どんな歌で法案を通すのか気になる」という前向きな声がある一方、「税金の無駄遣い」「ふざけるな」という批判も。政治評論家は「エンタメ化は諸刀の刃。政治への関心を高める効果はあるが、中身が薄くなる危険性もある」と指摘する。
国会のエンタメ化が今後どう展開するのか、目が離せない。ちなみに私はこの記事の取材中、スナック議場のカウンターで「愛は勝つ」を熱唱してみたのだが、与野党議員が涙して抱き合う奇跡の光景を目撃してしまった。政治とカラオケの化学反応は、単なる笑い話で終わらない可能性を秘めているのかもしれない。いや、でも本当に笑い話で終わってほしい。わが家の猫たちに「スナック議場どう思う?」と聞いたら、くしゃみの代わりに「にゃ〜」と鳴いただけだった。猫は正直だ。(みつき)