
政府が2025年度からAIを活用した「お昼寝アプリ」を国民全員に義務付ける方針を固めたことが明らかになった。このアプリは、利用者の生体データや業務状況を分析し、「最適な昼寝タイミング」を個別に指示。政府は「国民の生産性向上と創造性開発のための国家戦略」と位置づけているが、全員が同時に眠りに落ちるという予想外の事態に、各方面から懸念の声が上がっている。
この驚きの政策を推進しているのが、発足からわずか3ヶ月という謎の団体「全国昼寝協会」だ。会長を務めるイタリア人のドリーム・ナポレオーネ氏は「昼寝は人生のリセットボタン。日本人は眠りを軽視しすぎている」と、流暢な日本語で記者会見に臨んだ。「イタリアでは赤ちゃんからお年寄りまで全員が午後の時間に昼寝をします。だから私たちは美しく、創造的で、パスタが美味しいのです」と熱弁を振るった。なお、ナポレオーネ氏の肩書きを調べたところ「国際睡眠科学大学教授」とあるが、そのような大学は確認できなかった。「根拠はどこ?」という質問には「眠りの中にある」と謎めいた回答が返ってきた。
お昼寝アプリ「スリープ・ジャパン」の特徴は、AIが個人の生産性を分析し「今が眠り時」と判断すると、スマートフォンやPC画面に「眠りなさい」という赤い文字が表示される仕組み。この指示は無視できず、15分間の強制昼寝タイムが発生する。厚生労働省の担当者は「AIが最適な睡眠時間を科学的に計算するので、どんな会議中でも、電車の運転中でも、外科手術の最中でも、指示が来たら従わなければなりません」と説明する。
しかし、アプリの試験運用で奇妙な現象が発生している。なぜかAIが全国民に対して同時刻に昼寝を指示してしまうのだ。先週の試験では午後2時15分に東京23区内の参加者全員に昼寝指示が出され、タクシードライバーから国会議員まで一斉に眠りに落ちた。その結果、首都高速で12kmの渋滞が発生し、国会審議が30分中断。さらに全員が起きる時間も重なったため、コンビニのトイレに長蛇の列ができるなど、思わぬ混乱が生じている。
この事態に対し、全国昼寝協会は「アルゴリズムの小さな問題です。実装前に調整します」と説明するが、IT専門家からは「全国民の生体データを一括管理するシステムでこんな初歩的なバグが出るなんて」と批判の声が上がっている。
一方、実際にアプリを試した人々からは複雑な反応が寄せられている。IT企業勤務の山田太郎さん(35)は「上司と話している最中に突然『眠りなさい』と表示され、そのまま床に倒れ込みました。起きたら昇進していました」と驚きを隠せない。主婦の鈴木花子さん(42)は「料理中に昼寝指示が来て、目が覚めたらキッチンが燃えていました。でも不思議と心がスッキリしています」と語る。
昼寝による経済効果を試算した「架空未来経済研究所」の報告書によれば、全国民が適切な昼寝を取ることで年間23兆円の経済効果があるという。ただし、この数字の根拠については「昼寝中に計算した」とだけ記されている。
政府は当初、お昼寝アプリの導入により「働き方改革の決定版」「24時間社会からの脱却」を目指していたが、全員が同時に寝坊する事態は想定外だったようだ。政治評論家は「この政策は政治家自身が昼寝中に思いついたのではないか」と皮肉る。いずれにせよ、日本社会に昼寝という新たな「義務」が加わる日も近い。通勤電車で隣の人と同時に意識を失う時代の到来に、私たちはどう対応すべきなのだろうか。なお、この記事を書いている最中にも私のスマホに「眠りなさい」の通知が来たが、締め切りに追われる記者に昼寝の余裕などない。猫のくしゃみでいつも目が覚めるせいか、むしろ昼寝ができる日が待ち遠しいとさえ思ってしまう今日この頃である。