
千葉県幕張メッセで先日開催された「Animelo Summer Live 2023」(通称アニサマ)で、従来の交通概念を覆す革命的な移動手段「空飛ぶエコ絨毯」が初公開された。この絨毯は、千葉超能力開発研究所が3年の歳月をかけて開発したもので、特筆すべきは「超能力者専用」という点だ。一般の人々には単なる派手な柄の絨毯にしか見えないが、認定された超能力者が乗り込むと、なんと地上から約2メートルの高さを浮遊して移動できるという。
開発を主導したのは、同研究所の謎多き科学者「ドクター・ハムスター」こと竹林ゴールデン博士(42)。「私は小さい頃からアラジンに憧れていました。でも、ランプを何度こすっても精霊は出てこなかった。だったら自分で作ってしまおうと思ったんです」と語る竹林博士は、普段は白衣の胸ポケットにハムスターを忍ばせており、研究のインスピレーションはすべてペットから得ているという。
この絨毯がなぜ「超能力者専用」なのかというと、飛行には搭乗者の念力エネルギーが必要だからだ。「超能力者協会」認定の登録者(現在全国で推定217人)のみが操縦可能で、協会からは会員向けに「エコ絨毯割引券」も配布されている。「うちの協会、実は会費だけで運営が厳しくて。これで会員サービスの一環になれば」と同協会の透視部長・見透かし鈴木氏(39)は苦笑する。
特筆すべきは、この絨毯の環境への配慮だ。従来の交通手段と異なり、CO2を一切排出せず、絨毯自体も廃棄コーヒーかすと古着を再利用して製造されている。竹林博士は「超能力者のオーラだけで動くので、ガソリンも電気も不要。まさに究極のエコ交通手段です」と胸を張る。
しかし、一方で致命的な弱点も。それは「風に弱い」という点だ。アニサマでのデモンストレーション中、突然の強風により試乗していた超能力者・曲げられる小野さん(28)が会場上空で約3分間旋回し続ける事態が発生。「念力で絨毯を制御しようとしましたが、千葉の風の方が強かった」と小野さんは降下後、顔面蒼白で語った。
この事態を受け、運営側は「風速5m以上の日は安全のため運休」というガイドラインを急遽設定。千葉県の年間平均風速データによると、これは年間約120日の運休に相当するという。「せっかくの超能力を持っていても、風には勝てない。結局、電車に乗るしかないのかな」と、利用を検討していた念力使い・田中さん(24)は肩を落とした。
また、「超能力者による絨毯渋滞」の懸念も指摘されている。人口密集地域での絨毯利用が増加した場合、空中交通のルール整備が追いつかない恐れがあるからだ。国土交通省は「絨毯飛行専用レーン」の設置を検討中だが、「見えない能力者がどこを飛んでいるのか把握できない」という根本的な問題に頭を抱えている。
一方で、超能力者たちの間では「空の上で友達とハイタッチできる」「通勤ラッシュとは無縁の生活」など期待の声も上がっている。竹林博士は「次世代モデルでは風への耐性を高め、降雨センサーも搭載予定」と意気込むが、「現在の超能力者人口では市場として小さすぎる」という経済評論家の指摘もある。
「空飛ぶエコ絨毯」は革命的な交通手段として期待される一方、千葉県の強風という自然の脅威に頭を悩ませている。超能力者でさえも自然には勝てないという皮肉な現実。「夢は見るものじゃなく、乗るもの」を掲げる竹林博士の挑戦は、まだ終わらない。なお、協会では超能力者の新規会員を募集中とのことだが、入会テストでは「スプーン曲げ」だけでなく「強風下での絨毯操縦」も追加される予定だという。