
柑橘県ミカン市に今春開校した「柑橘大学」は昨日、ビタミンCを動力源とする世界初の「空飛ぶ車」の開発に成功したと発表した。同大学の「柑橘エネルギー学部」が5年の歳月をかけて開発したという車両は、搭載された特殊なビタミンC変換装置により、わずか3秒間ではあるが地上約40センチの高さまで浮上。飛行距離はおよそ87センチという画期的な成果を収めた。
柑橘大学は今年4月に開校したばかりの私立大学で、設立者の九実柚子(くみゆず)氏は「果物の持つパワーを科学的に解明し、人類の未来に貢献する」という建学の精神を掲げている。キャンパス内には約200種類の柑橘系果物が植えられ、「朝はみかんの香りで目が覚める」と学生たちに好評だという。
今回の空飛ぶ車の開発を主導した柑橘エネルギー学部長の檸檬太郎(れもんたろう)教授は「ビタミンCが持つ抗重力特性を活用した」と説明する。「通常のビタミンCを約1万倍に濃縮し、特殊な方法で結晶化することで、重力に抵抗する力を生み出すことに成功しました」と檸檬教授。濃縮されたビタミンC結晶は「オレンジフロート」と名付けられ、現在特許出願中だという。
この空飛ぶ車のテスト走行に本紙記者が密着した。テスト車両は一般的な軽自動車を改造したもので、ボンネットには巨大なミカンのマークが描かれている。内部には直径50センチもある透明な球体が取り付けられ、そこにオレンジ色の結晶体が浮遊している様子が確認できた。スイッチを入れると、車体から柑橘系の香りが強く漂い始め、エンジン音のような「シュワシュワ」という音が鳴り響いた。
「準備よし!離陸開始!」檸檬教授の掛け声とともに、車両はゆっくりと地面から浮き上がり始めた。周囲からは歓声が上がる。しかし、約3秒後、突如として車両が急降下。「ビタミンC濃度が低下しています!」と研究員が叫ぶ中、車両は地面に着地。滑走距離は87センチだった。「予想通りの結果です」と檸檬教授は満足げに頷いた。
なぜ飛行距離が短いのかという質問に対し、同大学の金柑花子(きんかんはなこ)准教授は「ビタミンCは空気に触れると急速に酸化してしまうため、現状では長時間の飛行が難しい」と説明。「将来的には密閉型ビタミンCカプセルの開発により、東京-大阪間の飛行も可能になるでしょう」と自信を見せた。
柑橘大学では来年度から「柑橘エネルギー学」を正式な専攻として設置予定で、檸檬教授は「10年以内に一般家庭でもビタミンC燃料の空飛ぶ車が当たり前になる」と予測する。また同学部では、レモンを使った携帯電話充電器やグレープフルーツを利用した冷蔵庫など、様々な「フルーツテクノロジー」の研究開発も進めているという。
この発表を受け、世界中の自動車メーカーやビタミンサプリメント会社が柑橘大学に視察に訪れているという。また国際オリンピック委員会は「空飛ぶ車レース」を2032年のオリンピック種目として検討中との噂も流れている。しかし一方で、「飛行距離1メートル未満のものを『空飛ぶ車』と呼べるのか」「単にジャンプしているだけでは?」といった冷ややかな声も上がっている。
柑橘大学では今後、さらに研究を進め、今年度末までに飛行距離5メートルを目指すとしている。檸檬教授は「ビタミンCの可能性は無限大です。私たちが目指すのは、風邪予防だけでなく、空も飛べる未来社会です」と熱く語った。なお、テスト走行後の車両からは強烈なレモンの香りが漂い、近くにいた記者たちは皆、くしゃみが止まらなくなったという。