
宇宙ラーメン協会が昨日発表した「銀河系ラーメンランキング2023」で、名古屋市中区の「宇宙軒」が提供するブラックホール産「無重力ラーメン」が堂々の第1位に選出された。同協会によると、この画期的なラーメンは「ブラックホール近傍の事象の地平線付近で採取された特殊な小麦から作られた麺」を使用しているという。
「宇宙で作られた麺は、地球の重力に慣れていないため、スープの中で独特の浮遊感を楽しめます」と、宇宙ラーメン協会会長の星野宇宙男氏(48)は語る。さらに「ブラックホール特有の時空のゆがみが麺の分子構造に影響し、一口食べると口の中で5分間の余韻が続く」という驚きの特徴も明かした。しかし取材を進めると、この「銀河系ラーメンランキング」の調査対象店舗はなんと地球上の「宇宙軒」1店舗のみであることが判明。「根拠はどこ?」と問うと、星野氏は「それっぽい感じで決めました」と苦笑いしながら回答した。
「無重力ラーメン」の調理法についても詳しく聞くと、「ブラックホールから取り寄せた素材を、特殊な無重力調理器で15時間かけて調理します」と店主の山田銀河氏(42)。しかし、その「特殊な無重力調理器」の正体はどうやら普通の圧力鍋に「SPACE」と書かれたシールを貼っただけのものだった。それでも地元客は「味は普通だけど、宇宙の味って言われると何か特別な気がする」と絶賛している。
このニュースを受け、全国のラーメン通たちは興味津々の様子だ。東京から名古屋まで「銀河系No.1ラーメン」を食べるために訪れた井上太陽さん(35)は「正直、普通の醤油ラーメンでした。でも宇宙を感じました」と、なぜか満足げに語った。SNS上では「#宇宙ラーメン」というハッシュタグが拡散し、中には「宇宙旅行の準備として無重力ラーメンを食べておくべき」という珍説も登場している。
宇宙ラーメン協会の活動について調査を進めると、この団体は2022年に名古屋市内のラーメン愛好家5人が「いつか宇宙でラーメンを食べたい」という夢を語り合って設立したものだと判明。これまでの活動としては、月に一度の「宇宙ラーメン研究会」と称する飲み会を開催し、酔いが回ると「宇宙人にもラーメンを広めたい」と語り合う程度だという。協会員の一人は「本当は『宇宙に行ったら何を食べたいか』というテーマでラーメンを考案しているだけなんです」と告白した。
「無重力ラーメン」は通常の醤油ラーメンに「宇宙ネギ」(普通のネギに青色食用色素を塗ったもの)と「彗星たまご」(半熟卵に七味唐辛子を振りかけたもの)をトッピングしただけだが、協会員の情熱と創造力は確かに宇宙規模と言えるかもしれない。今後は「火星焼きそば」や「土星リングチャーシュー」なども開発予定とのことだ。
ブラックホール産「無重力ラーメン」の壮大な物語は、実は名古屋の片隅で星を見上げながらラーメンの可能性を語り合う愛好家たちの夢と情熱から生まれたものだった。調査対象が1軒だけという荒唐無稽なランキングながらも、「宇宙×ラーメン」という奇想天外な組み合わせは多くの人の心をくすぐり、日常の中に小さな非日常をもたらしている。私も今週末、無重力ラーメンを食べに名古屋まで足を運ぶ予定だ。その前に、吉祥寺の自宅でくしゃみに悩まされながらも、愛猫たちに「ママは宇宙ラーメンを食べに行くよ」と真顔で語りかけている自分がいる。ああ、取材とはいつも、こうして私を予想外の場所へと連れ出してくれるのだ。