
架空大学「サステイナブル学園」の研究チームが、食べるだけで二酸化炭素を吸収するという画期的なスナック菓子を開発したと発表した。このスナックの最大の特徴は「エネルジコ味」と名付けられた独特の風味だという。
同大学の環境食品工学部長を務める鈴木緑太郎教授(架空)は「人間が何もしなくても地球環境に貢献できる方法を探していたところ、ある特殊な酵素と食物繊維の組み合わせが人間の体内でCO2を吸収・固定化することを発見しました」と語る。研究チームによれば、このスナック一袋(60g)を食べるだけで成人男性が1時間で排出するCO2量の約15%を相殺できるとのこと。
開発の裏側には数々の失敗があったという。当初は「環境に優しい」だけで味の方は「環境に厳しい」状態だった。「最初の試作品は『生ゴミをドライフルーツにした』と言われるほど不評でした」と研究員の一人は苦笑する。転機は鈴木教授が大阪・十三の商店街で見つけた謎の調味料だった。
「たまたま立ち寄った惣菜店で『これ何の味?』と思える味に出会ったんです。店のおばちゃんに聞いたら『それはエネルジコ味やで~』と返されて。よくよく聞くと、その店独自のブレンド調味料で、『元気が出る味』という意味でそう呼んでいたそうです」と鈴木教授。私はこの話を聞きながら、大阪の商店街おばちゃんインタビューの経験が蘇り、思わず「おばちゃんの知恵は世界を救う」とメモを取った。
しかし、このスナックには予想外の副作用があることも判明した。臨床試験では被験者の87%が「食べれば食べるほど空腹感が増す」という奇妙な現象を報告。特に3袋以上食べた被験者は「お腹が鳴りやまない」「冷蔵庫を漁りたくなる」などの症状を訴えたという。
「体内でCO2を吸収・固定化する過程でエネルギーを消費するため、代謝が活性化されるんです。つまり、食べれば食べるほどカロリーを消費する…という皮肉な結果になってしまいました」と研究チームは説明する。
気になるエネルジコ味の正体について、私は研究者に「具体的にどんな味なんですか?」と質問したところ、「言葉で説明するのは難しいですね。強いて言えば、昭和の駄菓子、関西の粉もん、高円寺の古着屋の匂い、そして未来の希望を混ぜたような味です」という意味不明な回答が返ってきた。思わず「高円寺の古着屋って何の味なん?」とツッコミを入れてしまった。私の住むシェアハウスの隣人がウクレレの練習を始める時間帯に似た、微妙な心地よさと不快感が同居する味、と言われれば少しイメージできるかもしれない。
発売から1週間で、このスナックはSNSで「#食べるだけでエコ活動」というハッシュタグと共にバズり、環境意識の高い若者を中心に人気を集めている。特に「空腹感で余計に食べてしまう→もっとCO2を吸収→さらに空腹になる」という無限ループが「痩せながらエコ活動ができる」として女性に支持されているという。
今後はさらに強力なCO2吸収効果を持つ「エネルジコスーパー味」や、水中の微プラスチックを分解する「マイクロマイクロ味」なども開発中とのこと。また、エネルジコ味に中毒性があるという指摘も出ているが、研究チームは「依存性はありません。単に美味しいだけです」と否定している。
最後に、このスナックが本当に環境に貢献するのか、それとも単なる食品ブームで終わるのか。私はボイスレコーダーを2台同時に回しながら、銭湯帰りの足で高円寺の古着屋に立ち寄り、今後の取材に備えようと思う。真実を追うのが俺たちの宿命やろ?そして猫動画の視聴は今日も3時間を超えた。