
新興政党「パイナップル党」が集めたふるさと納税による選挙資金が予想を大幅に上回り、その資金で購入した南国フルーツが国会議事堂を埋め尽くす異例の事態となっている。同党は「政治に南国の風を」をスローガンに掲げ、昨年末に結成された。
パイナップル党の山下パイン党首(48)は元々沖縄県のパイナップル農家だった。「政治家になったのは、パイナップルをピザに乗せるかどうかで国を二分する議論にケリをつけたかったから」と語る山下氏。中学時代にハワイアンシャツを365日着続けた記録を持ち、高校の卒業文集には「将来の夢はパイナップルになること」と書いていたという異色の経歴の持ち主だ。
同党が注目を集めたのは、その斬新な選挙資金集めの手法だ。「パイナップルで国を変える!」と訴え、ふるさと納税の返礼品として「パイナップル党応援セット」を設定。パイナップルの形をした党員証と、南国の香りがするという「政策提案書」(実際はフルーツの香りがするだけの白紙)を返礼品として提供したところ、予想を上回る人気を博した。
「最初は月に10件ほどの申し込みを見込んでいました」と語るのは党の会計担当・島田トロピカル氏(39)。「ところが、SNSで『面白い』と拡散され、気づいたら1日1000件のペースで申し込みが殺到。気づいたら23億円も集まっていました」
集まった資金で党は選挙活動を行う予定だったが、会計担当の勘違いにより「パイナップル23億円分」が発注されてしまった。先週末、トラック457台分のパイナップルが国会議事堂に届けられ、議場はあっという間に南国フルーツで埋め尽くされる事態となった。
現場を訪れた本紙記者(17)が見たのは、まさに「トロピカルパラダイス」と化した議事堂の姿だった。議長席にはパイナップルが山積みにされ、議員席の上にもパイナップルが鎮座。一部の議員たちは困惑する様子もなく、むしろノリノリでフラダンスを踊り始める奇妙な光景が広がっていた。与党幹部のA議員は「これはもう『パイナップル議会』として歴史に刻まれるでしょう」と笑いながら語った。
この現象について「南国フルーツ研究所」の調査結果によると、「パイナップルの香りは政治家の脳内セロトニン濃度を通常の3.7倍に高め、ポジティブな政策立案能力を向上させる」という。同研究所の所長・田中マンゴー氏(6)は「パイナップルの力で国会のムードがよくなるのは科学的に証明されています」と語る。田中氏は元幼稚園児で、実はハムスター好きが高じて南国フルーツとの関連性を研究し始めたという異色の経歴の持ち主だ。
この事態を受け、ふるさと納税制度の見直し議論が加速している。総務省のある担当者は「政党へのふるさと納税は想定外でした。制度設計を見直す必要があるかもしれません」と頭を抱える。一方で「パイナップル議会」は早くも今年の流行語大賞候補にノミネートされ、若者を中心に「#私もパイナップル党」というハッシュタグが急速に拡散中だ。
パイナップル党の今後について山下党首は「次はスイカ党との連立も視野に入れています」と意欲を見せる。しかし党内からは「パイナップルはやっぱりピザには乗せないで!」という声も上がっており、党の政策方針をめぐって早くも亀裂が生じている。南国フルーツによる政界再編の行方は、まさに熟していない状態だ。