
世界初の「月光バーガー協会」が、次回の月食時に全世界の人々が月見バーガーを空に掲げる「ムーンライトアップ作戦」を計画していることが分かった。このプロジェクトは、月食で暗くなった月を「月見バーガーの集合的エネルギー」で照らし出すという、前代未聞の壮大な試みだ。
協会の発起人であるミス・ルナリスト(本名:月野うさぎ、42歳)は、「月見バーガーには古来より月と交信する特殊な波長が含まれています」と熱弁する。彼女によれば、普段は食べ物としか見られていない月見バーガーだが、実は「正しい持ち方と詠唱」によって、微弱ながらも青白い光を放つという。「卵黄の黄金比と円形のバンズが作り出す完璧な幾何学模様が、月の引力と共鳴するのです」と説明するルナリスト氏は、昨年の中秋の名月の際に自宅で偶然この現象を発見したという。
協会はすでに世界56カ国に支部を持ち、会員数は推定1万7千人。会員たちは毎週金曜の夜、自宅の庭や公園に集まり「月光ダンス」と呼ばれる儀式を行っている。これは月見バーガーを両手で持ち、反時計回りに踊りながら「つきみてつきみて、ヤッター!」と15回唱える独特の踊りだ。SNSには協会員の踊る様子が数多く投稿されており、ある公園では近隣住民から「深夜にハンバーガーを持った集団が奇妙な儀式をしている」との通報があったものの、「食べ物で遊ぶな」という注意のみで解散となった。
協会が目標とする次回の月食(来月15日)では、全世界で最低10万個の月見バーガーを同時に空に掲げることを目指している。協会の試算によれば、10万個の月見バーガーが発する「月光エネルギー」は、月食中の月を約0.0000001%照らすことができるという。「肉眼では全く見えない数値ですが、精神的な結束力としては計り知れません」と広報担当は語る。
プロジェクトに参加するには、協会が定める「月見愛7カ条」を暗唱できることが条件だ。その内容は「1.月は丸い 2.卵も丸い 3.バーガーも丸い 4.この世は丸い 5.人の縁も丸い 6.丸いものは尊い 7.故に月見バーガーは宇宙の真理なり」というものだ。さらに、協会認定の「月光バーガー」を作るための秘密のレシピも存在する。通常の月見バーガーと違い、卵は必ず満月の夜に産まれた白色の鶏の卵を使い、バンズには微量の蓄光パウダーを混ぜることが推奨されているという。
科学者からは疑問の声も上がっている。国立天文台の星見博士(55)は「食べ物が宇宙に影響を与えるという考えは科学的根拠が全くない」と指摘。一方で協会側は「近代科学ではまだ解明されていない古代の叡智」と反論している。
協会の次なる野望は「月面に巨大な月見バーガーの模様を作る」ことだという。ルナリスト氏は「将来的には、地球からハンバーガーの形が見える月面アートを実現したい」と夢を語る。実現可能性については「今はまだヒミツ」としながらも、「NASAやSpaceXとコラボできないか交渉中」と意味深な発言をしている。なお、この記事の取材中、筆者は協会員から「あなたも卵の黄身を見つめているとき、何か語りかけてくるのを感じませんか?」と真顔で尋ねられ、目が合ってしまった卵黄から「食べないで」という囁きが聞こえた気がして一瞬動揺した。
月見バーガーで月を照らすという前代未聞のプロジェクトは、科学的な批判をよそに着々と準備が進んでいる。来月15日の月食時、世界中の人々が空に向かってバーガーを掲げる奇妙な光景が見られるかもしれない。月が照らされるかどうかは定かではないが、少なくとも地球上では「食べ物で遊ぶな」という親の教えに反する最大規模の抗議活動が実現することになりそうだ。