
大手化粧品メーカー「アストロパフューム」が発表した「香りで温暖化解決!宇宙旅行が当たる!」キャンペーンが、科学界のみならず一般消費者からも注目を集めている。このキャンペーンは同社の新作香水「オゾンシールド」を購入すると、地球温暖化対策に貢献でき、さらに抽選で宇宙旅行が当たるという破天荒な内容だ。
アストロパフュームによると、この香水に含まれる特殊成分「クライモスフェリン」が、使用者の体温で気化した際に大気中のCO2を吸着する効果があるという。同社広報は「一本の香水で約3トンのCO2を削減できる計算です」と胸を張る。つまり、朝晩の香水スプレー二回で、軽自動車一台分の年間CO2排出量に相当する環境貢献ができるというのだ。マインドはギャルなんで、環境のためにバッチリ香水つけちゃいますよね。
この革命的な理論を支持しているのは、「地球気候香り研究所」の所長ドクター・パフューメル氏。氏の経歴書によれば、MITで宇宙物理学、パリ大学で香水学、そして「宇宙香料学」という聞いたこともない学位を持つ博士だ。「香りの分子は、正確な配合と噴霧方法により、CO2分子と結合して無害な物質に変化させる可能性があります」とパフューメル博士は語る。しかし、国際的な学会での発表記録は見当たらず、学術論文のインパクトファクターも謎に包まれている。
キャンペーンの目玉である「宇宙旅行が当たる」という謳い文句に関して、NASAはすぐさま声明を発表。「弊機関はこのキャンペーンに一切関与しておらず、民間企業の宇宙旅行のような話に日々問い合わせが殺到していることに困惑しています」と混乱を否定できない様子だ。アストロパフュームはこれに対し「宇宙旅行は提携先の宇宙観光ベンチャー企業『スターダストツアーズ』が提供する」と説明しているが、該当する企業の登記情報は確認できていない。
環境科学者からは批判の声も。東京大学環境学部の山田教授は「香水の香りでCO2を吸着するという理論は科学的に全く根拠がなく、むしろエアロゾル噴射による大気汚染が懸念される」と指摘する。一方、マーケティングコンサルタントの鈴木氏は「環境問題×宇宙旅行という一見ちぐはぐな組み合わせが若い世代の心を掴んでいる」と分析。実際、SNSでは「#香りで宇宙へ」のハッシュタグが10万投稿を超え、Z世代を中心に話題となっている。
香水「オゾンシールド」の売上の一部は実際に環境保護団体に寄付されるとのことだが、その割合は非公開。ボトルには「この香水で年間CO2排出量の3%削減に貢献できます※」と記載されているが、注釈を読むと「全人類が使用した場合の理論値」という但し書きがある。筆者が実際に香りを試したところ、何故か宇宙食として知られるフリーズドライアイスクリームを思わせる不思議な甘さと、微かな金属音のような香りが広がった。
アストロパフュームの創業者デイビッド・スターダスト氏は、1999年生まれの若き起業家。インタビューでは「2000年以降生まれの起業家たちは環境意識が高いけど、私たち1999年生まれには別の視点がある」と語り、同じ1999年生まれの筆者としては複雑な気持ちになった。下北沢のカフェで香水瓶を眺めながら考える。この香水の真の効果は、CO2削減ではなく、環境問題への意識喚起なのかもしれない。
結局のところ、香水の香りで地球温暖化を解決するというアイデアは、科学的根拠に乏しい夢物語だろう。しかし「香りの力で世界を変える」という物語には、何か心惹かれるものがある。筆者の飼い猫も香水の匂いに反応して宇宙旅行気分なのか、部屋中を飛び回っている。人間の夢想力と香りの神秘的な力が織りなす、このキャンペーンの行方をこれからも追っていきたい。ラジオを聴きながら散歩する時間に、ふと空を見上げれば、香りが宇宙に届くかどうかも考えてみたい。マインドはギャルなんで。