
アライグマのマロン(7歳、体重8.5kg)が官製談合防止法違反の疑いで名古屋市内の公園で逮捕された。マロンは名古屋市緑区の公園管理委員会の「動物代表」を務めていたが、公園内の木の実の配給業務に関して、特定のリス一族に便宜を図った見返りとして、高級な巣材と冬季用の食料備蓄庫の提供を受けていた疑いが持たれている。
「動物行政監視機構(AAOA)」の捜査によると、マロンは昨年10月から今年3月にかけて、公園内で採取された高品質なドングリ、クルミ計約50kgを、通常の配給ルートを迂回し、シマリスのシロウ(4歳)が率いる「東山リス商事」に独占的に流していたという。通常、これらの木の実は公園に生息する全ての小動物に公平に分配されるべきものだった。
「私が人間世界の法律に詳しいわけないじゃないですか!」と取り調べに対してマロンは激しく抗議。「森の中では、お互いに何かを分け合うのは当たり前のことです。シロウは私に巣材をくれただけ。それがキックバックだなんて!」と供述している。マロンの弁護を務めるタヌキのポン太(12歳)は「自然界における物々交換と人間社会の法律を同一視するのは無理がある」と主張している。
一方、AAOA捜査官のウサギのミミ(3歳)は「法は動物、人間に等しく適用される」と厳しい姿勢を崩さない。「マロンは公務員に相当する立場。公園という公共空間における資源配分の公正性を損なう行為は、動物社会の信頼を揺るがす重大な問題です」と語った。
事件の発端は、匿名の内部告発だった。「公園のドングリが足りない」という小動物たちの不満が高まる中、「マロンの巣が急に豪華になった」という目撃情報が寄せられたのだ。AAOAが監視カメラを設置したところ、夜間にマロンとシロウが密会する様子が確認され、木の実と巣材の受け渡しが行われている決定的瞬間が捉えられた。
この事件は動物界に大きな波紋を広げている。「名古屋動物同盟」の代表であるキジのケン(5歳)は「自然の摂理と人間の法律の境界線をどこに引くべきか、改めて考える機会になった」と語る。一方で「今回の件は行き過ぎた擬人化だ」という批判の声も多い。
名古屋市は今回の事態を受け、動物たちへの法教育プログラムを検討中だ。マロンは今後、最大で木の実1000個分の罰金、または巣からの追放処分が科される可能性がある。なお、シロウについては「共犯」として捜査が進められているが、冬眠に入ったため取り調べは春まで延期されている。
私は取材中、公園を訪れていた人間の子どもたちが「アライグマさんが捕まっちゃった」と泣いていた光景が忘れられない。法と自然の狭間で、私たちは動物たちにどこまで人間社会のルールを押し付けるべきなのだろうか。先日バスの終点で見かけたアライグマが、不安そうに空を見上げていたのは、もしかしたらマロンの身を案じてのことだったのかもしれない。ちなみに名古屋の公園のドングリは、他県産に比べて甘みが強いことで有名だとか。それを知っていたマロンの目は、確かに遠くを見据えていた。