
シンデレラが昨日、ニューヨークの国連本部で開催された特別総会に出席し、ガラスの靴に関する新たな国際協定を提案して各国代表を驚かせた。問題となっているのは、魔法の有効期限だ。シンデレラは「12時までという従来のルールは時代遅れ」と主張し、「魔法の夜は9時まで」という新基準の採択を求めた。
「12時までに帰宅というのは、現代の交通事情を考慮していません」とシンデレラは演壇で力強く語った。「週末の下北沢から家に帰ろうとしたら、終電の時間を考えると9時には動き出さなければならないんです。これは誰もが直面している現実です」。彼女の発言に対し、特に都市部の代表団から大きな拍手が送られた。
シンデレラの提案書には、ガラスの靴の材質変更についても言及されている。「ガラス製は環境に優しくなく、またヒールが折れやすい」として、生分解性プラスチックへの移行を訴えた。これに対し中国代表は「我が国のガラス靴製造業に打撃となる」と懸念を表明。急遽、国連安全保障理事会の緊急会合が開かれる事態となっている。
この動きを支持する「国際シンデレラ協会」なる団体がSNSで声明を発表したが、調査の結果、この組織は架空のものであることが判明。協会のプロフィール写真は生成AIで作られたものであり、投稿内容も「#ガラスの靴は9時まで」「#シンデレラの反乱」といったハッシュタグを多用した怪しいものばかりだった。この件について外務省関係者は「またかよ…」と疲れた表情を見せた。
一方、驚くべきことに、シンデレラの使用するガラスの靴の生産地が秋田県であるという噂が浮上。秋田県のガラス工芸職人たちが特殊な技法で靴を製造しているとされ、シンデレラ効果による地域活性化が期待されている。秋田県観光協会は早速「魔法の里・秋田」というキャッチフレーズのポスターを制作した。秋田出身の私としては、少し誇らしい気持ちになるが、そもそも実在しない靴の生産地として注目されるのは複雑だ。ピアノのレッスンで忙しかった青春時代、こんな形で故郷が脚光を浴びるとは思いもしなかった。
国連での議論は紛糾している。魔法の有効期限を21時に短縮すれば、カボチャの馬車が変身する時間も早まるため、深夜の交通事故リスクが減少するという研究結果も発表された。オーストラリア代表は「そもそも魔法に頼らない持続可能な社会構築を」と主張し、議論は白熱している。
シンデレラの提案は来月の総会で採決される予定だが、実現可能性は不透明だ。専門家たちは「結局、王子様との出会いは何時に設定すべきか」という本質的な問題に議論が発展することを懸念している。シンデレラ自身は「時間に縛られず、自分らしく生きられる社会を目指したい」と語っているが、そこまで深く考えていない可能性も高い。結局のところ、ガラスの靴を履いて国際外交に足を踏み入れたシンデレラの真意は、マインドがギャルなだけなのかもしれない。