
航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が、全国の住宅街上空で「脱出ゲーム型空中演習」を実施すると発表し、話題となっている。この前代未聞の演習は、パイロットの緊急時対応能力向上と地域住民との交流を兼ねたもので、早ければ来月から順次実施される予定だ。
この演習では、住宅街の上空で複雑な編隊飛行を行いながら、突然チームリーダーから「脱出ミッション開始」の合図が出され、パイロットたちは事前に知らされていない経路で住宅街の迷路のような上空を飛行。制限時間内に「ゴール地点」にたどり着くという、まさに空中版脱出ゲームとなっている。
「若者文化を取り入れて航空自衛隊の魅力を高めたいんです」と語るのは、この企画を立案した航空幕僚監部広報課の鷹野大佐。「最近の若者はリアル脱出ゲームが大好きですから。でも地上でやるのはもう古いんですよ。エモさが足りない。そこで空でやることにしました」と胸を張る。
演習では、住宅街の複雑な区画や路地を活かした「空からの迷路」が設定され、パイロットは地図なしで飛行しなければならない。当然、迷子になる可能性も高いため、「迷ったらGPSで救出します」システムも導入。パイロットが「迷子ボタン」を押すと、地上のスタッフが即座に現在位置を特定し、無線で正しい方向へ誘導するという。
先日の試験飛行で実際に迷子になったという宮城隊員は「千葉県船橋市の住宅街上空で完全に方向感覚を失いました。下には似たような屋根が広がり、もうダメかと思った時、GPSシステムが救ってくれました」と振り返る。「でも迷っている間、下の小学校の校庭で体育の授業をしていた子どもたちが大喜びで手を振ってくれて、それはそれで嬉しかったです。まるで空の迷子と地上の応援団みたいな」と笑顔で語った。
住民の反応は賛否両論だ。28歳のK-POPダンサー、佐藤さんは「超エモい演出!空からブルーインパルスが迷子になってるの見たい!ストーリー性あるじゃん!」と興奮気味に語る。一方、60代の田中さんは「うちの屋根の上で旋回されたら、猫が驚いて屋根から落ちるかもしれない」と心配の声も。航空自衛隊では「民家の真上は極力避けます」と説明しているが、「でも迷子になるのが目的なので、どこを飛ぶかは正直わかりません」と率直に認めている。
この斬新な企画は、意外にも地域活性化につながる可能性も出てきた。演習予定地域では早くも「ブルーインパルス観測スポット」が観光マップに追加され、地元カフェ「空色喫茶」では青いクリームに白い雲模様の「ブルーインパルス・ラテ」が発売。SNSで「#空の迷子ラテ」というハッシュタグとともに拡散され、若者を中心に人気を集めている。
演習に参加する予定の高橋機長は「最初は冗談かと思いましたが、実際やってみると本当に難しい。住宅街って上から見ると全部同じに見えるんですよ。でも次回は絶対に迷子にならないよう、Google Earthで予習しています」と意気込みを語った。また別のパイロットは「脱出ゲームのスリルを空から味わえるなんて最高です。地上のリアル脱出ゲームとは次元が違います。文字通り」と興奮気味に話す。
航空自衛隊では、この演習の成功を受けて、次回は「住宅街上空かくれんぼ」や「空飛ぶ宝探し」など、さらに複雑な演習も計画中とのこと。広報担当者は「自衛隊と地域住民の距離が近づくことを期待しています。物理的にも精神的にも」と語った。なお、演習実施日には各家庭に「本日上空で迷子が発生するかもしれません」という通知が配布されるとのことだが、GPSの電池切れに備えて、いつでも119番通報できるよう準備しておくことをお勧めする。