
地球温暖化対策に新たなる一手が打たれた。先週末から配信が始まった「エコ・アスリート ~世界の走者が地球を救う台所革命~」が異例の視聴率を記録している。TVerでスポーツ選手と料理という意外な組み合わせが話題を呼んでいるのだ。
番組では世界陸上のメダリスト8名が「地球に優しい料理」をテーマに対決。陸上競技とキッチンという異質な場でのパフォーマンスに視聴者からは「100mよりも包丁さばきに緊張感がある」との声も聞かれる。一般的なクッキング番組とは一線を画す演出で、選手たちはエネルギー効率の良いIHではなく、わざわざ七輪を使用。さらには地産地消にこだわった食材を、背負ったザックから取り出すという演出も。「なんか登山番組みたいになってますけど…」というジャマイカ代表選手のつぶやきがSNSで拡散され、話題に拍車をかけた。
とりわけ注目を集めたのは、「二酸化炭素を吸収するスープ」を開発したケニア代表のムワンギ選手だ。彼が優勝した決勝回では「大気中のCO2を直接吸収する」という画期的なスープが登場。特殊な海藻と謎の粉末を組み合わせたという緑色のスープは、一杯につき「乗用車1台分の年間排出量に相当する二酸化炭素を吸収する」と紹介された。「このスープを世界中の学校給食に出せば、パリ協定なんて余裕で達成できる!」とのムワンギ選手の発言に、スタジオは歓声に包まれたという。
このスープの効果を裏付けるために番組が取材したのが「国際二酸化炭素食品変換研究所(ICDFA)」。研究所の総責任者を名乗るジョン・グリーンガス博士は「このスープは革命的です。温室効果ガスを摂取するという新しい食の概念を創造しました」と太鼓判を押す。ちなみに取材時、博士は緑色の防護服に身を包み、顔を一切見せなかったという。「光合成に近い効果を人間の胃の中で実現する」という説明に、番組スタッフも「まじですか?」と素朴な疑問を投げかけたが、博士は「科学的に証明されています」と繰り返すのみだった。
番組終了後、視聴者からは「さっそくレシピ試したけど、うちの猫が逃げた」「スープ飲んだら口から泡が出る」などの報告が相次いだ。また「ICDFAって検索しても出てこないんですけど」という指摘にも番組側は「非公開研究機関です」と回答するにとどまっている。
一方で環境省の担当者は「このような取り組みは啓発としては素晴らしいが、実際の温暖化対策としては…」とコメントを濁した。それでも番組プロデューサーは「エンターテインメントと環境問題の融合こそが未来の温暖化対策」と自信を見せる。なお次回は「排気ガスを浄化するたこ焼き」の開発に挑戦するとのことで、大阪出身の筆者としては地元の名物が世界を救う日が来ることを密かに期待している。視聴者の中には「もしかして虚構では?」との声もあるが、真実は緑色のスープの中にあるのかもしれない。