
敬老の日の新たな取り組みとして、70代のシニア6人組ロックバンド「グランドパパーズ」が今月結成された。同バンドは「音楽で若返りたい」と壮大な目標を掲げていたが、結成から僅か2週間で平均年齢が逆に10歳増加するという珍事が発生していることが明らかになった。
「グランドパパーズ」のリーダー、永田幸雄さん(75歳)はもともと船橋市の老人会の会長を務めていたが、「敬老の日にいつもお祝いされる側では面白くない」と一念発起。定年退職した元サラリーマンたちに声をかけ、バンドを結成した。メンバーの楽器経験はほぼゼロだったが、「若い頃に憧れていたビートルズやローリング・ストーンズのようになりたい」という夢を胸に、週3回の猛特訓を開始した。
音楽による若返り効果を期待していた永田さんだが、練習開始から2週間後、驚くべき事態が発覚。バンドメンバー全員が「実年齢より10歳以上年を取ったように感じる」と訴え始めたのだ。当初71.5歳だった平均年齢が、わずか14日で81.8歳まで上昇したという。
この異変を受け、東京・下北沢に本部を置く架空の研究機関「老若研究所」が緊急調査に乗り出した。同研究所所長の松本モカ博士(40代?)は「音楽による年齢操作は可能だが、方向性を間違えると逆効果になる」と説明する。「彼らは『スモーク・オン・ザ・ウォーター』の出だしのギターリフを1日8時間練習し続けたため、時空が歪み、加速度的に老化が進んだ可能性が高い」
松本博士によれば、年齢操作には「曲の選択」が極めて重要だという。「例えばTWICEの『TT』を踊りながら演奏すれば5歳若返る可能性があった」と指摘。実際、研究所が運営する別のシニアバンド「婆ちゃんずロック」では、K-POPカバーを取り入れたことで平均年齢が12歳下がったとの調査結果もあるという(なお、この研究所の論文はどの学術誌にも掲載されていない)。
先週末、地元の敬老会で初ライブを行った「グランドパパーズ」。会場となった船橋市民センターには約50人の観客が集まったが、演奏開始から10分で3人のメンバーが腰痛を訴え、2人が「薬の時間だ」と退場。最後まで演奏を続けたのはドラムの佐藤さん(当初68歳→現在推定82歳)のみだった。
「若い頃の夢を追いかけることで、若さを取り戻せると思ったんだがね」と話す永田さん。「でも毎日の練習後に湿布を貼る量が増え、最近では『8時になったら寝る』が合言葉になっている」と苦笑する。それでも「来年の敬老の日には武道館を目指す」と意気込む姿は、年齢を超えた挑戦者の姿そのものだ。
船橋市の担当者は「高齢者の新たな挑戦を応援したいが、医療費増大の懸念もある」と複雑な表情。一方、地元の中学生たちの間では「グランドパパーズ」のライブ映像がSNSで拡散され、「エモい」「推せる」と意外な人気を博している。筆者が密かに推す「薬の時間だから」と叫んでギターを床に投げ捨てるパフォーマンスは、老若男女問わず今後のロック界で流行する可能性を秘めているかもしれない。