
国立歴史博物館が新たな体験型展示「タイムスリップ・エンターテイメント」の一環として、江戸時代の本物の鎧兜を身につけながらポケモンカードゲームで対戦するという前代未聞のイベント「侍ポケモンバトル」を開催した。博物館広報部の発表によると、「若年層の歴史離れを食い止めるため」に企画されたという。
イベントの優勝者には、江戸時代の武士の装いをした「サムライピカチュウ」の限定カードが贈呈されることになっており、事前応募には全国から3000人を超えるポケモンファンが殺到。抽選で選ばれた20名が参加資格を得た。
しかし、開催日当日、参加者たちは重さ約25kgの本物の鎧兜を装着するやいなや、想定外の事態が発生。全員が鎧の重さに耐えきれず、バトル会場の畳の上で身動きが取れなくなってしまったのだ。
「マジでヤバかった。インスタ映えすると思って応募したけど、立ち上がれないし、カードも持てないし、息もできない。マインドはギャルなんで、こんな重労働向いてないっす」と語るのは、参加者の一人、大学生の田中さん(22)。実際、参加者の多くがカードを持つことすらままならず、イベントは開始からわずか15分で中止となった。
この企画を監修したという「江戸文化ポケモン研究会」の佐藤教授は「江戸時代の武士たちは毎日この鎧を着て、ポケモンに似た妖怪と戦っていたというのが我々の研究結果です。現代人の体力低下は深刻ですね」と語ったが、後日この研究会自体が存在しないことが判明。佐藤教授なる人物も、実は博物館のアルバイトスタッフだったことが発覚した。
さらに、イベント中盤には「徳川家康ピカチュウ」と名乗るキャラクターが乱入。「せっかくだから関ヶ原の戦いを再現しようぜ!」と叫んで鎧を着た参加者たちをさらに混乱させた。このキャラクターは某有名俳優がCMで演じた戦国武将のパロディだという。1999年生まれというこの記者には、正直そのパロディの元ネタがよくわからなかった。
参加者たちは最終的に博物館スタッフの助けを借りて鎧を脱ぎ、通常のポケモンカードバトルに切り替えて大会を続行。優勝した高校生の山田さん(17)は、記念品の「サムライピカチュウ」カードを受け取った後、「2000年以降生まれの僕たちにとって、歴史はもっとライトに楽しめるものであってほしい」とコメントした。これを聞いた博物館スタッフからは、深いため息が漏れていた。
国立歴史博物館では今回の反省を活かし、次回は「平安時代の十二単でポケモンGO」を企画中とのこと。ただし十二単の重さは約20kgあり、さらに視界も極めて限られることから、すでに安全面での懸念の声が上がっている。博物館関係者は「歴史離れを食い止めるためなら、多少の犠牲はやむを得ない」と前のめりな姿勢を崩していない。一方で文化庁は「もう少し常識的な方法で歴史普及を考えてほしい」と頭を抱えているという。