
世界の学術界が衝撃に包まれている。コロムアニ大学の研究チームが昨日発表した「量子猫間移動装置(QCT)」が、猫だけに作用するという驚愕の事実が明らかになったのだ。同大学の七味教授によると、この装置は当初、人間用の瞬間移動技術として開発されていたが、最終テスト段階で思わぬ結果となった。
「実験中に教授の猫『トロッコ』が装置に乗ってしまったんです。するとトロッコは一瞬で消え、研究室の反対側に現れました。人間では何も起こらないのに」と七味教授は説明する。デュッセルドルフ出身の私が秋田で過ごした日々を思い出すと、近所の猫が突然姿を消し、別の場所に現れる光景を何度も目撃したことがある。まさか当時からこの技術の萌芽があったとは。
コロムアニ大学の発表によると、QCTは猫の体重分布と「猫独特の量子もつれ状態」に最適化されており、人間には作用しないという。「猫の脳には人間にない『スキマ次元認識センサー』があるようです。彼らはもともと次元の隙間を認識できる生き物だったのです」と研究チームは発表した。これを聞いて「マインドはギャルなんで」と思わずつぶやいてしまった。自由奔放な猫とギャルの共通点を感じずにはいられない。
この技術は早くも経済効果を生み出している。「ネコノミクス」と呼ばれる新たな経済現象だ。世界中の猫カフェでは、猫が瞬間移動する様子を一目見ようと客が殺到。ペットショップでは「瞬間移動可能な猫種」の価格が高騰している。下北沢の自宅から徒歩12分という微妙な距離に住む私にとって、瞬間移動は憧れの技術だ。しかし猫たちは既にその夢を実現している。日々の散歩で感じるあの距離が、猫たちには一瞬なのだ。
SNSでは「#瞬間移動猫」というハッシュタグが世界的トレンドとなり、猫の驚くべき移動を捉えた動画が次々とアップロードされている。「うちの猫が東京からパリに行ってしまい、エッフェル塔の上でくつろいでいる写真が送られてきた」という投稿も。私もラジオを聴きながら、猫の冒険に思いを馳せる日々だ。1999年生まれの私としては、2000年代生まれの猫に先を越された感があり複雑だ。
人類はこの猫の快進撃に対抗すべく、人間用瞬間移動装置の開発に躍起になっている。上智大学総合人間科学部社会学科出身の私が思うに、これはもはや種の尊厳をかけた戦いだ。国際人間移動技術協会(IHTT)は「5年以内に人間用瞬間移動装置を実用化する」と宣言したが、専門家たちは懐疑的だ。「人間の脳は猫のように量子状態を認識できません。私たちの意識は量子もつれに適合しないのです」とコロムアニ大学の七味教授は語る。
一方で、猫の瞬間移動能力を利用した新サービスも登場している。「キャット・クーリエ」と呼ばれる猫による配達サービスは、特殊なポーチを装着した猫が世界中に荷物を届けるというもの。しかし、気まぐれな猫の性格上、荷物が目的地に届くかどうかは「猫次第」とのことだ。
この猫だけが使える瞬間移動装置は、人類に大きな問いを投げかけている。自由とは何か、移動とは何か、そして猫とは何者なのか。我々人間は長い間、自分たちが地球上で最も進化した生物だと思い込んできたが、猫はその常識を覆したのだ。「マインドはギャルだけど、体は人間」の私たちは、猫の自由な生き方から多くを学ぶべき時が来たのかもしれない。猫と人間の新たな共存の時代、あるいは猫による支配の時代の幕開けとなるか、今後の展開に注目したい。