
バイエルン大学発の驚きのニュースがビール愛好国ドイツから飛び込んできた。同大学の動物行動学研究チームが開発した「ペット用ビール」が、実は宇宙飛行士養成プログラムの一環だったことが明らかになったのだ。当初は「犬猫のストレス軽減のための発泡飲料」として発表されていたこの商品、実はJAXA(宇宙航空研究開発機構)やNASAも注目する「ペット宇宙飛行士プロジェクト」の重要な要素だったという。
「ビールを飲んだペットの無重力環境下での行動パターンを観察することで、人間宇宙飛行士の精神状態の研究に応用できる可能性があります」と語るのは、プロジェクトリーダーのハンス・シュトルードル教授。教授の研究室には、ラブラドール・レトリバーからチワワまで、様々な犬種の写真が壁一面に貼られており、「みんな私の研究パートナーです」と目を細める姿が印象的だった。
無重力訓練施設では、犬猫たちがアルコール0.1%の特製ビールを飲んだ後、特殊な浮遊装置で無重力状態を体験する様子が観察できる。「ビールを飲むと、どの犬も猫も体の力が抜けて、無重力状態をより自然に受け入れられるようです」と研究員は説明する。中でも注目すべきは、7歳のスコティッシュフォールドの「ミスター・ウィスカー」だ。このネコは無重力状態で複雑な回転技を自在に操り、研究チームを驚かせているという。私が取材中、ミスター・ウィスカーは壁に貼り付いたままピクリとも動かず、威厳ある目で私を見つめていた。まるで商店街のおばちゃんの鋭い観察眼を思わせる視線だった。
このプロジェクトの発表を受け、「国際ペット宇宙飛行士協会(IPAA)」なる組織が突如設立された。会長を務めるのは、かつて「ペット心理学の第一人者」を自称していたボリス・フェリーニ氏。「人類が宇宙に進出するなら、我々の大切なペットたちも一緒に行くべきです」と熱弁を振るう。協会が発行する会員証には、ペットの写真とともに「宇宙飛行士見習い(Astronaut in Training)」の肩書きが記載されている。年会費は驚きの29,800円。「高い!」と思ったが、フェリーニ氏によれば「宇宙服開発費を含めると破格の安さ」とのことだ。
飼い主たちの反応も様々だ。「うちのポメラニアンが飲んだ後、急に星空を見上げるようになった」(高円寺在住・32歳女性)、「猫が哲学的な表情で窓の外を眺めるようになった」(中野区・28歳男性)といった声が寄せられている。取材のため銭湯「宇宙の湯」で偶然出会った柴犬の飼い主は「ビールの後、犬が『ワン、ツー、スリー』と数えているように聞こえた」と興奮気味に話してくれた。ちなみにこの銭湯、今日のお湯は例年より2度熱めだった。
一方、疑問の声もある。動物愛護団体「ペットと地球の未来を考える会」の代表は「ペットにビールを飲ませるなんて常識外れ。アルコール0.1%とはいえ、動物の本来の姿を尊重すべき」と批判。これに対しシュトルードル教授は「彼らが宇宙で見せる姿こそ、ペットの新たな可能性ではないでしょうか」と反論している。教授の古びた柄シャツが妙に印象的だった。ヴィンテージショップで見つけたものだろうか。
バイエルン大学の奇抜なプロジェクトは、宇宙への夢をペットたちにも広げる試みとして世界中から注目を集めている。しかし、その裏には「ペットにビールを飲ませる」という奇妙なアイデアが潜んでいることを忘れてはならない。果たして、このプログラムから本物のペット宇宙飛行士が誕生する日は来るのだろうか。研究室を後にする際、ミスター・ウィスカーが窓辺で宙に浮かび、一瞬だけ前足でピースサインをしたように見えた。真実を追うのがジャーナリストの宿命やけど、これは報告すべきか迷う光景やった。結局、動物と人間の宇宙での共存という物語は、まだ序章に過ぎないのかもしれない。