
銀河系の未来を議論する「第1回銀河系国会討論会」が先日、宇宙空間に特設された仮想国会議事堂で開催された。この前代未聞の会議には、日本を代表するマンガキャラクターたちが「文化大使」として招集され、宇宙の諸問題について白熱した議論を展開した。主催したのは、昨年設立されたばかりの「空想科学国際機構」で、同機構の星野未来理事長は「フィクションの力で現実の壁を突破したい」と開催意義を語った。
会場には孫悟空(ドラゴンボール)、モンキー・D・ルフィ(ONE PIECE)、うずまきナルト(NARUTO)、ピカチュウ(ポケットモンスター)、ドラえもん(ドラえもん)らが着席。議長を務めたのは「宇宙戦艦ヤマト」の沖田十三艦長だった。特に注目を集めたのは、悟空が提案した「ブラックホール対策」だ。
「おら、そのブラックホールってやつ、カメハメ波で消せば良くね?」と悟空が発言すると、会場は騒然。JAXA(宇宙航空研究開発機構)から招かれた松本博士(46)は「それは物理学的に不可能です」と反論したが、悟空は「でもオラ、フリーザより強いブラックホールなんて見たことねぇぞ!」と力説。さらに「気を集めれば、宇宙の法則だって変えられっぺ」と持論を展開した。
これに対し、NASAから派遣された理論物理学者のジョンソン博士は「彼の発言は荒唐無稽に聞こえるが、実は超弦理論における11次元空間の概念に通じるものがある」と驚きのコメント。「漫画キャラの直感が最先端物理学と偶然一致した」として、カメハメ波理論を「Son Goku Paradox(悟空のパラドックス)」と名付け、急遽研究チームを立ち上げたという。
悟空の発言に触発されたのか、他のキャラクターたちも次々と大胆な提案を行った。ルフィは「オレは宇宙海賊王になる!」と宣言し、「銀河の自由と冒険の精神」について熱弁。具体的な政策はなかったものの、その熱意に各国代表は拍手喝采した。特に「宝(資源)は独り占めするものじゃない。みんなで分け合うべきだ!」という発言は、資源争奪に頭を悩ませる各国首脳から意外な支持を集めた。
ナルトは「忍術外交」という新概念を提唱。「影分身の術で全ての国に自分の分身を送れば、誤解も減るし、平和に近づくってばよ」という斬新な多国間外交案に、国連事務総長は「非常に興味深い提案です」と前のめりになった。特に「火影・風影・水影・土影・雷影による五影会談のような、各国首脳による定期的な顔合わせ」という提案は、実際の国際政治に取り入れられる可能性があるという。
会議の裏側では、ドラえもんが「どこでもドア」を使って各国代表を移動させるなど、未来道具で議論をサポート。特に「翻訳こんにゃく」は、193カ国の言語を瞬時に翻訳し、国際会議史上最も円滑なコミュニケーションを実現したと評価された。一方、ピカチュウは当初「ポケモン語」の通訳として招かれていたが、実際は「ピカ〜!」と叫ぶだけで具体的な発言はなかった。しかし不思議なことに、その度に場の空気が和み、対立していた代表たちが笑顔になるという現象が起きたため、「感情通訳」として重要な役割を果たしたとされている。
閉会式では、議長の沖田艦長が「宇宙は広い。だからこそ、想像力も広く持たねばならない」と総括。マンガキャラの奔放な発想が、硬直した国際政治に新風を吹き込んだとの評価で一致した。なお、この模様は全世界にライブ配信され、視聴率は史上最高の68%を記録。特にSNSでは「#カメハメホール」「#宇宙海賊王2023」などのハッシュタグが世界トレンド1位を独占した。
記者として取材した私は、帰りの宇宙船の中、ふと考えた。現実と虚構の境界線が曖昧になった今回の会議。笑い話のようだが、実は私たちの社会が抱える深刻な問題—想像力の欠如、既存の枠組みへの執着—に一石を投じているのかもしれない。ちなみに会議後、悟空に「本当にブラックホールを消せるの?」と尋ねたところ、「試してみなきゃわかんねーべ!でも、オラ、カプセルコーポのローン返済が終わんねーから、しばらく無理だな」と意外にも現実的な回答が返ってきた。フィクションと現実の狭間で、私たちは何を見出せるのだろうか。吉祥寺の自宅に戻りながら、そんなことを考えていたら、猫のモモとムギが「おかえり」とばかりに駆け寄ってきた。くしゃみをしながら原稿を書く夜。宇宙の謎より、まずは猫アレルギー対策が先決かもしれない。(みつき)